からふるなゆうべ

書くバタフライ効果実験室

カテゴリ: モータースポーツ

バクーに作られたストリートサーキットで行われるアゼルバイジャンGP。最初に開催された2016年のとき(この回だけは「ヨーロッパGP」として開催)から、幅員が大きく変化して、コーナーもきつく、難しいコースだと感じている。SCが出ずに終わった年はなかったのでは、と思いきや、初回開催の2016年はSC出動なく終了していたので、自分の記憶はあてにはならない。

今年は、スプリントレースも開催となっており、そのスプリントレースのフォーマットを含め、開催形態が大きく変わった。FPセッション後、すぐに決勝用の予選、土曜日はスプリントのための予選からスプリント、日曜日は決勝ということで、忙しい週末になる。昨シーズンまでは、土曜日の午前のFP2について、セッティングも変更できないのに走るという意味不明なセッションになっていたのを第2の予選としたわけだ。

それはそれで、見る方はいいかもしれないけど、ノックアウト方式の予選という、現在定着したフォーマットは、ノックアウトされる下位チームの走行機会を奪う方式で、上位チームにそもそも有利。そのセッションが二つ重なるのは「競技に対する公平性」という点でいかがなものかと思わなくもない。

今回唯一のFPとなったセッションでは、赤旗中断が響き、ロングランはほぼできていない。レースとスプリントは別のイベントとして切り離されたが、スプリントが最大限機能するのは、各チームの実力が接近して、だれが勝つのかが予想できないような状態のとき。今それをやれば、レッドブル有利なのはまぁ間違いない。今回はフェラーリが一発の速さはあったので、予選、スプリント予選ともにルクレールがポールをとったが、ポールはポイントに寄与しないので、・・・。下位チームがポイントをとるとしたら、スタートで何か起こる、もしくは雨。通常のレースも条件は一緒。スプリントに意味があるとすれば、FPでできなくなるロングランのデータ取りってことだけだろう。しかし、今回アルファタウリはデ・フリースの強引なドライビングによる角田とのクラッシュがあり、角田はロングランテストの機会を奪われた。こういう同士討ちはあってはいけないのだが、まぁこれもレースの一部、と割り切れるかどうかが角田には試されることとなった。去年のイギリスで角田もやらかしてるし、「行ってこい」だ、と言われればそうなのだが。

予想通り、スプリントレースはペレスが勝利、2位ルクレール、3位フェルスタッペン、以下ラッセル、サインツ、アロンソ、ハミルトン、ストロール。まぁ見事に現時点の上位4チームで点を分け合うことに。チーム間の格差が広がるだけなので、スプリントは不要。純粋に見るだけならレースセッション二つはお得感あるけど、だまされてる感しかない。イベントを別枠にするなら、ポイント加算も別枠にした方が良くないか?そうしたらスプリント狙いのマシンづくり、セッティングなどでひっかきまわすチームも出てくる可能性も考えられるのだが。しかし、そのためには、今のパルクフェルメルールをいじらないといけない。スプリントも本戦も同じセッティングでやっている今のルールでは、何のサプライズも起きる可能性はない。いろいろ書いたけど、要は今の状態のスプリントの開催は反対ってこと。続けるならもっとフォーマットをいじる必要があるし、続けるのであれば、こんな付け焼刃ではなく、もっと時間をかけていいものにしてほしい。

本戦スタート前なのにめちゃ書いた。レースは、これまでいろいろ試してきたけど、今回はチーム別に統括するフォーマットにしてみる。

レッドブルは、今回ペレス盤石。このバクーで現時点唯一の複数勝利者になった。フェルスタッペンは、SCが入る前にタイヤ交換をしたので、やや損をしたが、それがなかった場合でも、トップは守れたかもしれないが、苦戦はしたはず。チームオーダーを出されないと仮定しての話だけど。ペレスが優勝、フェルスタッペンは2位。

フェラーリはルクレールが3位表彰台に上がったが、レッドブルに匹敵できるレースペースはなかった。終盤はアロンソの攻撃を何とかかわして滑り込んだ。サインツは5位、ややセッティングが煮詰められなかったのか、ペースでもルクレールほどではなかった。

アストンマーティンは、アロンソ変わらず好調。終盤のペースはレッドブルに匹敵できるもので、このペースがすべての周回で維持できるなら、優勝は遠くない。ストロールもアロンソの直後についた序盤戦で無駄なチームメイトバトルを避けただけでなく、それをアロンソにちゃんと伝えるという男気。アロンソもそれに応え、自分のブレーキバランスをストロールにアドバイスするなど、これまで予想されていたチーム分断の危惧をとりあえずは払拭して見せた。今後ストロールとの関係がどうなっていくのかは見ものだ。アロンソ4位、ストロールは7位。

メルセデスはハミルトンがレースではやや好調で6位だったが、アロンソのアタックをかわすことはできず、ストロールのミスで先行したがそこまでという感じだった。ラッセルは、あまり目立てず8位。

マクラーレンはノリス頑張った。中位争いはヒュルケンバーグとオコンのハードスタート勢にかなり手を焼き、彼らのタイヤ交換まで付き合わされる羽目になったが、逆に言えばそのおかげで直後にいさえすれば順位は上げられる。上位4チームに混乱がなければほぼ確定である現状では、これが上限かという感じで、ノリスは9位。ピアストリはタイヤマネジメントして終盤角田にアタックするかと思ったのだが素のスピードだったか、アタックしきれず11位。

アルファタウリは角田が過去3戦よりは攻められた、というかスピードが戻った感じを受ける。予選8位はこれまでのマシンだったら無理だっただろう。スタートでラッセル、ストロールに先行されたが、結果を見るに彼らを上回ることは難しかったので、先行させてタイヤを温存して自分の戦いに備えるという意味ではよかったのかもしれない。レースの段階でそういう選択を自らするはずはないが、結果オーライの10位1ポイントは今のアルファタウリには貴重だ。ピアストリは突き放し、ノリスには余り遅れずについていけた。このコースの特性上、これが実力かどうかには疑問符はつくが、次に向けて光は見えた。デ・フリースは、う〜ん、評価しづらい。2年前の角田を見るよう、というのが的を射ていることを祈る。クラッシュリタイヤ。

ウィリアムズ、アルボンはこれが限界なのか?最近のウィリアムズはストレートスピードに全振りな感じもするが、しょうがないのかの12位。サージェントは予選クラッシュが響いたかな。アルボンに負けないペースは持っていることはわかったが、レース運びを学習中。こちらも今後に期待の16位。

ハース、今回はミディアムスタートが正解だったようで、というかSC出動のおかげでハードスタート勢はタイヤ交換のタイミングを失ったというほかはない。ミディアムスタートのマグヌッセン13位、ヒュルケンバーグは17位に沈むことに。

アルピーヌは・・・。FP1でガスリーが炎上したが、その余波がオコンにも波及した感じ。レースではハードスタートのオコンはヒュルケンバーグと並んでDRSトレイン先頭という感じではあったが、このままではアロンソにいいように言われてしまうだけだ。ガスリー14位、オコンは15位。オコンと言えば、ラスト2周の段階でノルマのタイヤ交換に入ったところ、ピット入り口に人だかりがすでにできていて、見ていて非常に危険に感じたのだけど、そのあたりのルールも整備されてないの?

アルファロメオは、どこにいたのってくらい目立たなかった。このままでは厳しい。ボッタス18位、周はリタイヤ。

次回はすぐにマイアミ。こちらもスピードは出るがトリッキーな市街コース。しかし今回のバクーとも全く違うコースレイアウトなので、また違う戦いが繰り広げられるだろう。

ん〜、なんだろう。一言でいえば「ぐだぐだ」なレースだったとしか言いようがない。

兆候はFPからあった。3コーナーで、ペレスはじめ多数のドライバーがそこでうまくいっていなかった。外側グラベルベッドなので、コースに石が散らばることも。雨が断続的に降る天候も、あまりいい影響を与えなかったかもしれない。

予選、FP1でペレスがまさにそこでコースアウト、予選タイムなしというかなり衝撃な展開。予選結果もフェルスタッペンは盤石もフロントローはラッセル、セカンドローもハミルトン、アロンソという、サウジアラビアまでとが異なる順列になった。それ自体は、いつも同じでもつまらないし、いいのだけど。

レースが始まると、フェルスタッペンのスタートが良くない。ラッセル、ハミルトンに行かれてしまう。フェルスタッペンはハミルトンの寄せが気に入らないようだった。そこはいろいろあるだろうが、ぶつからなかったので何かが発生することもなかった。そのあたりは緩くなってて、最初の位置取りとかで厳しくするという方向性なのかもしれないが。

オープニングラップで、ルクレールがストロールに絡んで早々にストップ、セーフティカーがいきなり導入された。オーストラリアでは、去年アルボンが最終ラップまでハードタイヤを引っ張ったという実績があるので、そこでタイヤ戦略の駆け引きがあり、ミディアムスタートのドライバーはほとんどがハードへ。ハードのドライバーの中にも、このSC期間中に1周だけミディアム入れて再びハードに戻すとか、戦略を変更するチームも見られ、そのあたりまでは興味深いものはあったのだが。

アルボンが単独スピンしてクラッシュ、グラベルが盛大にコースに散らばったところで二度目のSCから赤旗。この赤旗のタイミングがまずよくない。っていうか、SC期間中にタイヤ交換する人とステイアウトで乗り切る予定の人がいるわけで、そこも作戦のうちなはずが、直後に赤旗ではピットインした人が救われない。ラッセルやサインツなどがこれにあたる。

中断後スタンディングスタートでレース再開。フェルスタッペン、ここでもあまりきれいに出られなかったが、まぁ順位はキープした。その後ラッセルがエンジントラブルでリタイヤ、ヴァーチャルSCとなる。そこまでは、問題ははらみつつもまぁ普通のレースといった雰囲気だったのだが。

残り6周で、マグヌッセンがウォールにあたりタイヤを飛ばしてリタイヤ。ここもSCから赤旗という順序になるのだが、SCで2周してからの中断決定。何かと判断が遅い。最終盤で赤旗再スタートは、経験上ろくなことがないのだが、一応ここではレース成立条件は満たしているので、ここでレース終了でよかったような気がするのが最初の不満。

再スタートは思った通りろくなことにならず、アロンソとサインツの衝突から多重クラッシュに発展し3度目の赤旗。隊列をその前のコントロールライン通過順位に戻して、ここで終わればいいものを、再スタート決定。この再スタートは、おそらくサインツにペナルティを課して、タイムペナルティ消化のためと思うが、レースはSC先頭のカルガモ走行でゴール。これではサインツは救われない。しかもその後、マシンがまだ走っているにもかかわらず観客がなだれ込んで4度目の赤旗とか、オーガナイザー的にどうかしてる。

ちなみに3度目のスタートで、ハースのヒュルケンバーグとか、角田にしてもスタートがうまく決まりジャンプアップ、アルピーヌとかこれで両方のマシンを同士討ちでクラッシュさせてしまうし、ダブル入賞のはずが踏んだり蹴ったり。そんなこんなで大きく順位が入れ替わったが、「クラッシュした人を除いて」それは「なかったこと」になり、ハースの抗議も実らなかった。では、なんで3度目のスタートをさせたのよ。みんなが怖い思いして、誰も得るものがない。

結果、優勝フェルスタッペン、2位ハミルトン3位アロンソ。以下ストロール、ペレス、ノリス、ヒュルケンバーグ、ピアストリ、周、角田までが入賞ということに。サインツは結局このペナルティのおかげでボッタスよりも下位の12位ということになり、話も聞いてもらえない状態。いや、これは周りが詰まっていたから多重クラッシュになってしまったけど、レーシングインシデントだろ。結局のところ、こういう割を食いたくなければトップにいるほかはない、という、今の時点におけるフェルスタッペン以外には無理難題を押し付けるだけで終わったと言えるだろう。

今期はとにかく、スチュワードの判断で順位が入れ替わったり戻ったり。人為的な順位操作を見たいわけではないし、「自分たちが支配してる」みたいなマウント劇もたくさんだ。23戦ずっとこの調子でやられたら、F1は終わる。もっと危機感を持ってやってほしい。

今期のF1第2戦は、昨年に引き続き、ジェッダでナイトレースとして開催された。

初戦、本質的にぶっちぎりだったレッドブル。今回もFPからレッドブルが完全掌握的に速かった。唯一の誤算は、予選でのフェルスタッペンのドライブシャフト破損のみ。それはそれで問題だけど、結果としてみればペレスとフェルスタッペンが入れ替わるのみ、という結果で、レッドブル圧勝は揺るがなかった。フェルスタッペン自身は不満だろうけど、「これもレース」なのだ。パパフェルスタッペンの能面っぷりも面白かったけど、それはそれで人間的な大きさとしていかがなものか、と思ったり。

3位には再びアロンソが入っているが、こちらはペナルティ解釈に紆余曲折あって、表彰台に乗った後に裁定が下り、トロフィだけラッセルに移動。しかしその後アストンマーチンによる抗議が奏功し、結果が元に戻った。ピットストップペナルティの運用が、初戦のバーレーンから厳しく取られる雰囲気だけど、それはあとでぐだぐだになる。しかも他に何もいい影響を与えない。それはどうなの?

アロンソの相方のストロールは、いい位置で序盤走っていたけど、マシントラブルでリタイヤ。マシンの速さは証明したが、信頼性はレッドブルと同じく疑問符が付いた。

そんなわけで、4位はラッセルだけど、アロンソについていくのがやっとで、プレッシャーを与えるまでには至らず。ハミルトンは5位の順位よりも、なんとなく元気がない感じがする。長年一緒に頑張っていたトレーナーのアンジェラさんともタッグを解消し、何か変化を付けようとしているのかも。

フェラーリのサインツ、ルクレールはさらに映像に映らず、アルピーヌのオコン、ガスリーも最終的には8、9位にはなったものの・・・。入賞最後の位置に滑り込んだのはマグヌッセン。最終盤まで角田を抜きあぐねていたが、うまく抜き去った後はペースの差が歴然。ハースのほうが今回は入賞にふさわしかった。レース後、マグヌッセンと角田は握手しており、なかなかいいモノを見させてもらった。

その角田は、ここまで一貫してデ・フリースより速さを見せている。デ・フリース自身は「そろそろ慣れてきた」とコメントするものの、メルセデス側の冬の間のコメントには、今のところ追いつけていない。

いずれにせよ、わずか2戦にしてノーポイントなのはアルファタウリとマクラーレンだけっていうことになったので、裏返せば、トップ4を除けば、残りはどこが入賞してもおかしくないってことだと思う。次戦はオーストラリア。ここはどちらかと言うとストップアンドゴーなサーキットなので、バーレーンに近いか?この後、多少長めのブランクが開くので(中国がキャンセルになった影響だ)、この後のアップデートで、また流れが多少は変わるだろう。

そして今年もF1のシーズンがやってきた。去年よりちょっと早いだけじゃなく、去年より1戦ほど多いのだった。そのくせテストは1週間前に3日だけ。大丈夫なのか?と思いきや、どこのチームも完成度を上げていて、ほとんど赤旗の出ないテストだった。

そんなテストを見て、感じたのはレッドブルの速さと安定感、そして対抗はフェラーリで、そこに続くのは多分アストンマーティンだろうと。メルセデスはちょっとスピードに不安材料が。そしてあとは団子かな、って感じで見ていた。

果たしてバーレーンではまさにそんな感じ。予想より遅いのはマクラーレン、それからアルファタウリ、アルピーヌもオフシーズンの時に言っていたほど速さを感じない。

レッドブルにアストンマーティンのアロンソが食い下がる感じのFP。しかしアストンマーティンはアロンソだけではなく、自転車事故でテストを欠席したストロールもなかなかの速さを見せた。つまり彼らの速さは本物ってこと。予選ではフェラーリが意地を見せたが、レースになると、レッドブルのフェルスタッペンが余裕の走り。ペレスはそこまで余裕がある感じではなかったが、それでも2位にちゃんと滑り込んで見せた。フェラーリはルクレールが突然のストップ。3位を守るべきサインツは、アロンソに抜かれ4位に甘んじた。

メルセデスは、コース上でアロンソにぶち抜かれ、メルセデスエンジン本家の面目が保てなかった感じに見える。アルピーヌはオコンがドタバタ、予選タイム抹消で最下位スタートだったガスリーが9位に入るので、実力が見えない開幕戦だった。ウィリアムズは復活の兆し。アルボンは10位だったけど、新人のサージェントもそれほど離されずにフィニッシュした。アルファタウリは、今回は速さを見せられず。角田は11位、デ・フリースは全般的に角田を上回ることができず。序盤に角田を上回って見せなければ、28歳までF1に来れなかったということに、やはりそれなりの理由があってのことなのかも知れないと思われてしまう。

アルファロメオはまずまずの速さを見せた。ボッタスが8位に入ったし。周が思ったより結果が出なかったのはちょっと残念か。ハースはノーポイント。まぁ、いくらピンチヒッターでいい走りをしたところで、ヒュルケンバーグはヒュルケンバーグなのだと思う。ミックの方が絶対伸び代があるというのが今でも僕の考えだ。あとはマクラーレンか。こっちもちょっと酷かったね。完全に忘れるべき結果だと思う。

次戦は2週間後、サウジアラビア。この期間でどれだけ戦力図を書き換えられるか。まだブランニューでそれほど走ってないマシンたちなので、序盤戦で化ける可能性もある。コース特性も違うし、テストや初戦とは違う結果を出したいチームももちろんあるはずだ。

一つ言えるのは、後ろの方で完全に出遅れた、と言えるチームはない。5位以降のチーム順位は混戦になるだろう。シーズンが終わったら、どんな順位になっているか、予想を断言できない。その分楽しいシーズンになるだろうし、なってほしい。

レッドブルの新車発表の席で、フォードと組むことが正式に明らかになった。フォードと言えば、F1では馴染みが深いし、単一のエンジンとしてF1で最大の成功を得たDFVエンジンはフォード(とコスワース)のエンジンだ。フォードがF1から去って30年近くになるが、それでもフォードのブランドはF1ではビッグネーム。レッドブルと組むニュースはトップニュース扱いだ。

おそらく。アンドレッティもフォードにはジョイントを打診したはず。マリオがチャンピオンを取ったのはDFVエンジンによるものだし、最初に考えるはずなのだ。しかしレッドブルにかっさらわれた格好だと推測する。なのでキャデラック(GM)なのだと思うのだが、キャデラックのレースでの知名度なんて、IMSAなど、アメリカのレーシングシーンをチェックしていないとほとんど出て来ない名前。これでヨーロッパを主体とするF1チームの面々に響くはずがないのだ。もちろん、それが「フォード」だったらインパクトは全然違ったと思う。

そしてホンダ。この話によって、ホンダは、2026年以降参戦を明確にしていながら、供給先を持たないエンジンメーカーとなった。ユニットを欲しがるコンストラクターはいないとは言わないけど、現時点でトップチームと言えるコンストラクターはいない。それはホンダにとっては厳しいことかもしれないが、これまでのホンダの姿勢を見ていると、まぁ仕方ないかなとも思う。何年か参戦しては撤退の繰り返しの歴史がそこにはある。
第3期と今回の第4期は特にその「気まぐれ」っぷりが際立つ。第3期は次年度まで続けていれば絶対に勝てるマシンを作り上げておきながらのぶん投げ。ブラウンGPはエンジンこそメルセデスに変更したが、シャシーはホンダの資産をまるっと譲り受け、そのまま逃げ切ってチャンピオンを取った。誰もが「あと一年やってれば」と本当に感じたはず。

第4期だって、最強のパワーユニットを作り上げておいていきなりの撤退。レッドブルを落胆させ、自前のエンジンを作ることを選択させたのが今回のフォードに繋がってるわけだ。彼らの交渉によって2025年までの供給は取り付けたわけだけど、そこも実は信用を落としているフシがある。辞めると言っておきながら、実質は作り続ける。そんな姿勢を見せられたら、レッドブル側からしてみれば、それがたとえ今最強のユニットだったとしても、先行きは不安以外の何物でもなかろう。

ホンダの社員や経営陣がどう考えているかは知らないが、ホンダは日本で二番目の自動車会社である。しかも他とは違って、基本独立経営のままそれを成し遂げている。だからこそ、そのトップの言動は「重み」がなくてはならない。撤退表明→(連結子会社による、いわば隠れ)継続って、そういう姑息なことをやるべき会社じゃないんだ。第2期の頃に無限(いまのM-TEC)へ技術を譲渡して無限で継続とはわけが違うし、現在では、技術的にその手法はもう使えない可能性が高かったとしても。

そんなわけで、この事態は、ホンダが自ら招き寄せたものだと結論づけるしかない。次にどこかのコンストラクターに供給が決まったとして、またしばらくは苦戦することになるんじゃないか、そんな風にも感じている。

まぁ、レッドブルがこれで万全、と言うつもりもないけど。自前のエンジンがちゃんと機能するのか、そのへんはしっかり見ないといけないだろう。フォードと言うよりコスワースがこのプロジェクトに絡むのかどうかも見極めたい。

今季最終戦、アブダビ。昨年はグダグダな最終戦の中、フェルスタッペンがチャンピオンとなったが、今年は昨年よりは落ち着いた形になったのかな。

今季限りでF1を去ることになったセバスチャン・ヴェッテル。4度のチャンピオン、53勝という記録を残したが、最終戦前に、ドライバー全員で送別会があったとか、レース前にもセレモニーがあったし、過去なかったような盛大な送り出しだった。去年のライコネンもレース前にセレモニーはあったけど、ここまでではなかった。

来期走らないのはリカード、ラティフィ、シューマッハと他にもいるけど、当然のことながら、彼らは引退は表明していない。それを考えると、20席のドライバーズシートっていうのはやはり少なすぎるんじゃないか、と思ったりする。レースは増えるのに、ドライバーは増えない。特にアメリカで3戦もするくせにアメリカチームはお呼びじゃないとか、絶対におかしい判断だと思う。みんな言ってると思うけど。

シューマッハについては、最終戦直前に解雇を言い渡された。その時期に対して、「遅い」と言う話が出ているが、僕はそうは思わない。ここ10年くらい、次期ドライバー決定がどんどん早くなっている。それはドライバーの不安を抑えるとか、来期のマシン開発の方向やコンセプトが早く決まるなどのメリットはある。半面、今のシーズンで離脱するドライバーの決定が早くなるわけで、そうなると、離脱するドライバーよりも残留するドライバーへの扱いが良くなる。ドライバーのモチベーションに良い影響を与えるとは思えない。

その議論はともかく、シューマッハは、その最終戦だって、マグヌッセンよりも上位で終了したし、力はあるんだ。今更なヒュルケンバーグ復帰よりも絶対いいと思うのだが。判断の基準がわからない。下位チームには新人発掘の場としての役割もある。上位に行くために経験値のあるベテランを雇うにしても、それは一人で十分なはず。この決断は、ハースも来期に上に行けないと生き残り的にやばいってことなのかもしれない。シューマッハにレース後のドーナツを全力で止めに行ったという事実も裏付けとして十分だろう。あれやるとギアを始めとする駆動系に過大な負担がかかるからね。

とりあえず、リカードはレッドブルのリザーブとして出戻り(ペレスの存在を考えると複数年リザーブと言うのは考えられる)。そしてシューマッハにはメルセデスがリザーブとしてオファーを出している。こちらは、エンジンの供給先にドライバーを送り込むことも可能なシステムができているので、ひょっとすると案外早く復帰できる可能性もありそうだ。ラティフィについては、F1は微妙で、インディの転向の噂がある。いずれにせよ、まだまだ枯れる年齢ではないので、今後の活躍を期待している。

レースの話か。優勝はフェルスタッペン。危なげない優勝で1シーズン15勝と最多記録をさらに上積み。2位はルクレールで、年間2位の座を確保した。3位はペレス。最後追い込んだけど。フェルスタッペンがルクレールを抑えて、ペレスに逆転にチャンスを与えるという作戦はなくはないけど、その作戦が観客にもストレスを与えるのは16年のハミルトンVSロズベルグで十分わかったと思うので、そうならなくてよかったと僕は思う。

4位以降はサインツ、ラッセル、ノリス、オコン、ストロール、リカード、ヴェッテル。ハミルトンは終盤にリタイヤ、連続優勝の記録は途切れたが、それはそれで致し方ないように思う。記録よりも前を向けるかどうかが問題で、ハミルトンは今期それを示した。そうやって成長できるほうが重要だ。来期、ラッセルがハミルトンを差し置いてエースになるという予測もあるが、それを言うのは時期尚早かもしれない。2段落で終わりにするなよって言われそうだけど、ランキング2位決定と言われても、10年後それを覚えてるのは、かなりのマニアってことになるわけだし・・・。

いずれにせよ、今期はようやくこれで終了。見てる方もやっぱり「長かった」と言わざるをえない。来期は更に多いとか、なんだろうね。それが良かったのかどうかは、歴史が判断するかもしれない。見てる方は慣れてしまえばこんなもの、になるやもしれないし。

ストーブリーグは今期は皆無なので、次にF1に話題が出るのはニューモデルが出揃う2月以降かな。スタッフやメカニックさんたちには、できるだけ休んでいただきたいとは思うけど。

おつかれさまでした!来期も楽しみにしています。

シーズン終盤に配されることが多い、ブラジルでのGP。アウトドモーロ・ホセ・カルロス・パーチェ(通称インテルラゴス・サーキット)で開催される。

昨年と同様、スプリント予選込みで開催。昨年は予選失格&エンジン交換で5グリッドダウンペナルティを受けながらも、ハミルトン驚速で優勝だったが、今年もメルセデスがコースにマッチした戦いを見せた。今期が始まったときは、メルセデスは今年は勝てないんじゃないかと思ったものだが、そのリカバリーは驚くべきか、当然の技術力というべきか。

しかしながら、予選はもっと驚きで、Q3に降り出した雨と、真っ先にコースに出した順番の運もあって、ハースのマグヌッセンがポール。まさに人事を尽くして天命を待ったという感じであり、本来晴天なら、いや雨天だったとしてもずっと雨天の状態が続くのであれば、そこに位置できたほどの力はないはずだった。運も実力の内とも言うが、運を手繰り寄せるのは、最適なときに最適な判断を下せる人ってことなんだろう。

流石にそのマグヌッセンは、スプリントレースではなす術なく8位まで落ち、決勝ではリカードにぶつけられてリタイヤ。すべての運は使い尽くしてしまったようではあった。しかしポールの記録は歴史に残る。ハースにしても初のポールだったし、こういう事が起きるのは良かったと思う。

そのスプリントレースを制したのはラッセル。ハミルトンも3位に入り、2位のサインツが5グリッドダウンペナルティなため、決勝フロントローにメルセデスの2台が並ぶスタート順となった。スプリントで目立ったのはまずはアルピーヌの二人。接触で両者とも下位に沈んだ。アロンソ、オコンに不満を述べ、「フェルスタッペンともいざこざあったよね」「まぁあと1レースだから」と、今年はなかなか関係がよろしくなさそうだ。ハンガリーだっけ?アロンソに対して誰と戦ってるんだ状態のブロックの結果、その後ろを走ってたノリスにまとめて抜かれるなんてこともあったし。それとアストンマーティンの二人。ストロールはアロンソとのアメリカGPでの事故に対して反省してないようで、今度はチームメイトのヴェッテルに対して草刈りを強要している。いつか大事故を起こすんじゃないか?そんな意味では、来期のアルピーヌでのオコンとガスリー、アストンマーティンでのストロールとアロンソ、どちらも不安だ。

決勝スタート後、ハミルトンはフェルスタッペンにぶつけられて順位を落とす。フェルスタッペン「彼は僕にスペースを残す気はないようだった」でもペナルティはフェルスタッペンに。レース終盤では、ペレスよりもいいペースで後ろについたため、先行するアロンソ、ルクレールを抜けるのではということでペレスと順位をスワップしたが、アロンソを抜くことができず。その段階でペレスに順位を戻すことを指示されていたが、それに従わず。「理由がある」とフェルスタッペン。だが、F1は個人競技であるとともにチーム競技でもある。だからこそ1チームの出場台数に2台という明らかな台数制限が明記されているのだ。ペレス「それがあいつの本性なんだろ」これが来年のチームプレイに影響を来さないことを望むが。一応握手したとは言うものの。ペレスのモナコでの予選スピン(故意だったという)への報復という見方もされている。

リカードが先に書いた通りマグヌッセンとの衝突でリタイヤ。マクラーレンはノリスもリタイヤでノーポイント。アルピーヌとの戦いを厳しくした。ハースもマグヌッセンのリタイヤ後、ミックは伸びずノーポイント。アルファタウリはどちらも精彩を欠き、角田はSCでのラップダウン回復が認められないという異常な裁定により唯一周回遅れという結果に。FIAはこのシステムを正当化しているが、明らかにシステムが駄目だってことを認めるべき。

そんなわけで、色々後ろではドラマが有りながら、ラッセルが終始トップを守りきって初優勝。見事だったが、あとから彼のマシンに水漏れがあったと聞く。走りきれて本当に良かった。ハミルトンが2位でDOD。3位にはサインツが入った。4位はルクレール。ルクレールはチームに対して「チャンピオンシップを見越してサインツとのスワップ」を要求していたが、流石にポディウムがかかってるこの状況でのスワップは違うだろう。フェラーリからサインツへスワップの指示があったかどうかは知らない。

5位アロンソ、以下フェルスタッペン、ペレス、オコン、ボッタス、ストロールまでが入賞。次戦はようやく最終戦、アブダビだがそれがもう今週末ときた。移動距離を考えれば、物流とかタイトだと思う。本当にこんなにレース数が必要なのか、一考するべきだと思うが・・・。見る方は無責任に見るんだと思うし、やらせる方は「言うのは簡単」だけど、やってる人たちが燃え尽きたらどうにもならない。FIAは金のことしか頭にないとか、言われちゃうんだ。

もと、マクラーレンのドライバーとして活躍し、フォーミュラEでもチャンピオンを獲得したストッフェル・ファンドールネが、アストン・マーティンにリザーブとして招聘されたという。

なんだろう、ちょっと違和感を感じるのだが、ヒュルケンバーグといい、このファンドールネといい、少し前に活躍したドライバーがスポットライトを浴びるシーンが目立つような気がする。今シートを失いそうと取り沙汰されているリカード、シューマッハ、ラティフィを差し置いての話なのがね。そのうち、リカードについてはメルセデスもしくはレッドブルのリザーブに収まりそうだ、という情報は来ている。が、2年目だけどランキングで角田よりも上にいるミックよりも、「デビュー以来の表彰台に乗っていない参戦数」の記録を持ち、もう3年もリザーブでとどまっているヒュルケンバーグが優先とか、その判断基準がどうかしてる、としか言いようがない。要は全ては「お金」ってことなんだが、あからさますぎる。そうならないようにの予算制限だったと思うのだが、まるで機能しちゃいない。

それにしても、アロンソ移籍決定後のアストン・マーティン、ペドロ・デ・ラ・ロサのアンバサダー就任、そして今回のファンドールネ。アロンソとの関係が悪くない人が登用されている。これは、あれか?ストロール父とアロンソが衝突するはずだ、とする人たちへの「そうはならないよ」というメッセージなのか?

前回のアメリカよりは時間帯的にきつくないかな?1時間の差とは言え、3時に起きるのと4時に起きるのとではぜんぜん違う。

メキシコで行われるグランプリは、今年で初開催から60年目だという。行われていない時期もあったので、回数はもっと少ない。でも、僕が生まれる前から行われているわけで、歴史は長い。

今回、メルセデスが予告していたように、FPからかなり調子が良さそうだった。裏腹にフェラーリが伸びてこない。少なくとも予選では速いタイムを刻んでくるマシンだったが、今回は予選でもサインツが5位、ルクレールはボッタスにもやられて7位。なにかセッティングが最初から間違ってしまうとこんな感じにもなるかもしれない。

ポールはフェルスタッペンで、2番手にラッセルというフロントローだったが、ラッセルは最終セクションでミスが有り、かなり悔しそうだった。それは3番手スタートのハミルトンも同様で、予選後のインタビューで「ラッセルの予選に対してなにかあります?」と聞かれても答えなかった。それだけメルセデスのドライバーたちが、自分たちの好調を感じ取り、本気モードに入った証と言えた。

しかし、レースでもフェルスタッペンは盤石で、本当に隙きのないレースを見せた。タイヤ選択でも、メルセデス勢がミディアム→ハードというところ、それぞれ1段柔らかいソフト→ミディアムのワンストップを成功させ、寄せ付けなかった。というか、ほとんどのソフトスタートはソフト→ミディアムで走りきれていたので、今回はそちらが正解だったってわけで、メルセデスはコンサバに振ったのが功を奏しなかったと言える。

そんなわけで、上位陣には事件は起きなかったが、中位には起きた。角田はリカードに突っ込まれて、サイドポンツーンを破壊された。今年のマシンは、グラウンドエフェクトの効果をサイドポンツーンを含めたマシン下のボディワークで賄っているわけで、リタイヤやむなしだった。で、ツッコミを入れた方のリカードに10秒のタイムペナルティが出たが、それでもDODがリカードというのはいかがなものか。DODは、純粋にファンの投票によって決められるが、明らかにスペースのないコーナーで突撃して、生き残ってしまえばそれでOK的な部分が見える。それでいいのか、と思う。たとえDODが1年も経てば忘れ去られてしまうたぐいのものだったとしてもだ。

そしてアロンソ。いい走りをしていたのだが、エンジン(ターボかな)を壊してリタイヤ。アメリカからついていない。が、アメリカでのハースによる抗議は最終的に却下されて(ハースの抗議が、その刻限までに出されていなかったことで大逆転)、アメリカの7位をキープしたことは、良かった。

フェラーリは、レースでも精彩を欠き、結局スタート位置から変わらなかった。

決勝結果、優勝フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位ペレス。フェルスタッペンは年間14勝の新記録を達成。それ自体は大きな数字だが、年間開催の回数も増えているので一概にこれまでとどう、とは言えない。ペレスは2年連続で3位で表彰台だけど、本当はもう少し上を狙っていたと思う。タイヤ戦略はフェルスタッペンと同じソフト→ミディアムだったが、終盤タイヤが終わってしまった。タイヤマネジメントがうまいとされていたペレスだが、今回はフェルスタッペンのほうが上手だったと認めるしかない。

以下、ラッセルは最終的に最後にソフトを履いてファステストラップを奪い取った。サインツ、ルクレール、リカード、オコン、ノリス、ボッタス。ボッタスは久々の入賞、かな?

次戦は2週間後、ブラジル。今度も起きる時刻に悩まされるGPになるんだけど、それもようやく今期最後となるから、気合を入れて臨むことにしよう。

アメリカ大陸側の中継って、生で観ようとすると、日本では完全に丑三つ時からのスタートになるので、見る方も体調管理が大変よね。

COTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカ)でのF1開催もかれこれもう10回目。このGP開幕前に、アメリカ出身のマリオ・アンドレッティの名前がこのサーキットの最終コーナーにつくことになった。が、少なくともDAZNではあまり使われてなかったな。イタリアGPでもパラボリカがアルボレートコーナーに名称変更されたけど、こちらもあまり定着していなかった感もある。コーナーに限らず、名称変更って、長く使い続けないと駄目なんだろうな。そういう意味ではネーミングライツって、契約を長くしないとすぐ忘れ去られてしまうような気がする。

さて、ここでは、コンストラクターズチャンピオンの決定の可能性があった。エンジンが電動も含めて「パワーユニット」となってから、長らくメルセデスの支配が続いてきたが、それも今期はレッドブルに取って代わられるかも、ということで、それも一つの注目点だった。

今回、レース期間中はずっと風が強く、それへの対処がドライバーを苦しめていた。そうは言っても、予選は結局フェラーリとレッドブルの一騎打ちで、その後にメルセデス、そしてその後は混戦という状況にはあまり変わりがなかった。予選ポールはサインツ、ルクレールが2番手、フェルスタッペンが3番手という予選結果だったが、PU交換によりルクレールは降格、4番手のペレスも降格、と。結局予選順位でスターティンググリッドは決まらない。ペナルティをたくさん出す今のレギュレーションがいいとも思わないし、複雑なルールは抜本的な見直しが必要だと思う今シーズンである。

レースでは、ポールスタートのサインツがオープニングの1コーナーでラッセルに突っ込まれて回ってしまう。サインツはこれによる水漏れでリタイヤ、ライン取りに問題があったように思うが、その前にスタート出遅れが問題なのかも。

途中ではストロールとアロンソが絡み、アロンソの車体が浮き上がるという事故。ストロールはこれでリタイヤだが、アロンソはクラッシュ後フロントウィングの交換だけでゴールまで走りきってしまう。ハミルトンが飛んだときにはハミルトンはリタイヤしていることを考えると、アロンソはラッキーだったとも、アルピーヌは頑丈だったとも言える。

ヴェッテルは各所で果敢な追い抜きを見せ、ドライバーオブザデーに輝いた。これを見ていると闘志は衰えていないように見えるし、技術も錆びついてはいない。少なくとも引退を表明したあとはカムバックしている感じがして、それを加味するとまだやれそうな気もするんだけど。最後だから変なところを見せられないというのもあるかもしれない。

アルファタウリはハードタイヤでラップタイムが遅く、さらに5秒ペナルティを受けているガスリーと、ミディアムで早いタイムを刻んでいた角田とのスワップがうまくいかず、角田が割を食う感じ。角田は10位でポイントゲットしたのでまだ良かったが、このスワップがうまく機能していれば7位にはなれた可能性がある。ガスリーって、チームメイトの前にいるときに作戦で順位を交換するのを極端に嫌がる。ハートレイとかもそれでいい結果を出せずに終わったことも多いので、それが来期アルピーヌで出ると、オコンとの関係に大きく響くだろう。コンストラクターズの順位にも当然大きく関係してくるので、おおらかなアルファタウリならともかく、アルピーヌではそうではないと思われるので、今のうちに修正が必要。

最終結果、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位ルクレール、以下ペレス、ラッセル、ノリス、アロンソ、ヴェッテル、マグヌッセン、角田。ハミルトンはフェルスタッペンのピットミスで一時期首位に立ち、ひょっとして優勝できるのでは、との期待もあったが、ペース差が大きかった。ノリスは最終スティントの追い上げが凄かった。最終ピットのリリースは角田の後ろだったがあっという間にこの位置まで来た。

・・・と、書いたところで、ハースが、フロントタイヤ翼端板をボッタスとの接触で落としたペレス、及び先述のストロールとの衝突後、終盤ににミラーを飛ばしたアロンソのマシンに対して抗議との報が入ってきた。今期これまで3度もオレンジボールを提示されたハースとしては到底納得いかない結果だっただろう。抗議の結果、ペレスの方はレッドブル側がフロントウィングの写真とともにディレクターへ大丈夫である旨の連絡を入れており、その時点で問題ないとの裁定が下っていたとして却下、一方のアロンソに関しては実際ミラーが飛んでしまったのが国際映像でバッチリ捉えられていたこともあり、アルピーヌ側の抗弁(2019年日本GPでのミラー外れかかりマシン走行の事実)は却下されてアロンソは30秒タイムペナルティ。結果アロンソより降着していたヴェッテル、マグヌッセン、角田は順位が繰り上がり、11位に入っていたオコンが10位入賞と変更になった。

次戦はすぐにメキシコ。ここは標高が高く、ホンダが伝統的に有利な場所。ここでフェルスタッペンが勝利すれば、年間最多勝(現在13勝)の記録を更新することになる。そうは言っても、今の年間のレース数を考えれば、最多勝よりも年間勝利率で考えたほうがいいんじゃないかと思ったり。

今回で最終回、決勝日の行動ということで。

翌朝。6時頃に目が覚める。なんだかすごい朝焼けだ。天気予報では午後雨となっていたけど、この段階では曇り。雲も薄い感じがしたし、青空も覗いていたので、ひょっとしたらゴールまで天気は持つかも?いや持ってほしいと願っていた。

この日の開場は7:30。入場したところで傘を持ってきたほうがいいかな、と思う。いや、場内、特に席での傘の使用は禁止だ。理由は後ろの観客の視界の妨げ、隣の観客との干渉、突風による傘のコースへの飛来など、いくつかある。しかしここは、持って来ておくべきだと感覚が囁いていた。それが正解だったことは午後に明らかになる。その頃には1コーナーのゲートもオープンしているはずで、そこからなら僕らの止めた駐車場もとても近い。

そんなわけで、広場から1コーナーへ向かうが、途中、一般道からピットへ向かう道路がある。そこに入るバンが軽快にクラクションを鳴らしながら走り抜けていく。各チームのピットクルーがそこからパドックへ入場するのだ。それを見て、たしかに昔もそこでドライバーの出待ち、入待ちをしていた記憶が蘇る。早いうちにそこにたどり着いたおかげで、僕らは最前列だ。クルーもドライバーも、パドックに向かうならばここを通るしかない。撃速でパドック入りしていない限りはここを通過するのだ。

僕らが見ている間には、順不同でラッセル、ハミルトン、リカード、サインツ、ルクレール、ヴェッテル、ストロール、アルボン、ガスリーが抜けていった。あとはレッドブルの(去年のホンダの監督)山本さん。あとは女性のレポーターがこの通路で取材をしていった。彼女は、ドライバーズパレードの際の、ホンダ応援席前でホンダドライバーたちにコメントを求めていたので、主催者側の方なのかな?

そのあたりで、決勝日に岸田総理大臣がこの鈴鹿サーキットを訪れることを知る。なるほど、警備がいつもより厳重と思ったのは、その警備のためなわけだ。総理大臣がF1を訪れるとか、なかったんじゃないか?(初めてのことだと、あとでわかる)

10時近くまでここにいたが、見かけていないドライバー、アロンソたちがが特設会場のステージに現れているのが確認できる。ここで入待ちは切り上げて一旦駐車場に戻り、傘をゲット。前もって昼食を、またE席裏の屋台広場で調達して席に戻ると、ちょうどサポートレースのポルシェカップが始まろうとしていた。ハコのレースもいいよね、と思いながら観戦。

12時より、スタート前のイベントが始まる。もちろん、岸田総理大臣の挨拶があって、それからドライバーパレード、レコノサンスラップからグリッド整列、国歌の演奏、と続く。気になっていた雨は、ドライバーパレードの後半辺りからぽつぽつと。国歌演奏のころは小雨模様となり、ホンダジェットの展示飛行の頃にはそこそこ降っていた。一応服装としては、超撥水ジャケットを着てはいたけど、フォーメーションラップ前には本降りとなっていて、超撥水程度ではヤバい状況になりつつあった。娘2はレインコートだったけど、娘2も、スタートして初期のレース展開だけ見たら帰ろう、と言い出した。このあと、どれくらい降り続くのかが読めない以上は、早めに上がったほうが良さそうだ。我慢してみるには装備と覚悟に相当のものが必要そうだ。

フォーメーションラップではすでに車の後ろに盛大なウォータースクリーンができていて、波乱が予想できた。果たして、レースがスタートすると、逆バンクからダンロップコーナーへ向かう間にもかなりバランスを崩す車もあり、心配になったところ、サインツが200R付近コースアウトしてクラッシュ、アルボンもヘアピン立ち上がりでクラッシュして、SC導入から赤旗となった。ここが潮時、僕らは観戦を諦めて、車に戻った。まさかその後2時間も中断になるとは思ってなかったが、きっとそれが僕らには正解だったんだろう。

車に戻ってから、iPadを立ち上げ、テザリングを使ってDAZNでの観戦を開始する。しかし、レース終了までこの駐車場にいても渋滞に巻き込まれるだけ無駄が大きいよねという判断で、観戦は娘2に任せ、音声だけ拾う。長い中断のあと、レース再開のアナウンスがある頃には中央道に入って恵那山も越えようとしていた。なぜ中央自動車道を帰りに使ったかって?帰りは諏訪SAで温泉にでも浸かるかという目論見があったからさ。

さて、そのときには気がついてなかったけど、SCから赤旗になるまでの間にマシン回収のために重機がコース上に出動していた。サインツの事故の際の看板をもらってしまったガスリーが、ピットでそれを除去し、隊列に戻ろうとしていた際に、その重機に遭遇したらしい、というか隊列自体もそこを通りかかったようなのだが、重機に気が付かなかったドライバーもいたらしい。

2014年、ジュール・ビアンキが亡くなったのは、ダンロップコーナーでマシンの回収をしていた重機にアクアプレーニングを起こしたビアンキのマシンが衝突したことが原因。8年という時間は、この事故を忘れてしまったのだろうか。晴天ならともかく、雨の中でこのような対処は間違っている。

レース再開は16:15。流石にそこまで雨の中で待っていることはできなかったな。早帰りを決断したのは間違いじゃなかったと思う。体力的、時間的、健康的なあらゆる理由で。その頃には雨はかなり小降りになっており、再スタート後ヴェッテルとラティフィが直ちにインターに履き替えている。

これが奏効し、ヴェッテルは最終的に6位、ラティフィも9位入賞、ラティフィは今期初入賞を果たした。この結果が1ヶ月ほど早く欲しかったかも知れない。

チェッカーが一周早く出たっぽいとか、運営の展開が結構バタバタ。その割にはルクレールのコースアウトにはさくさくペナルティを決めるとか、行動に一貫性がないようにも見受けられる中、最大の驚愕はこの結果でフェルスタッペンが今年の年間チャンピオン決定、という結果になったこと。

色々あるけど、昨年のベルギーでのカルガモ走行ゴールの結果二ポイントが与えられたことで設けられ、誰もがそれに従えばフェルスタッペンのここでのチャンピオンはないと考えていた、「レースディスタンスによる配向配点ルール」は「もしレースが再開されなかった場合」って、まさかのIF文で構成され、なんだかもうできの悪いBASICか何かのプログラムのようだった。

すなわちこの状況ではそもそも「IF」が成立してないというわけで、IF以降は読み飛ばし。今回はチェッカーが振られたのでレースが成立し、追加条文以前のルールが適用される。半分以上の周回を回っているので、フルポイントが与えられる、ってどうよこのルール「改正」。そりゃ、新ルールに「IF」がなかったとしての計算でもあと1点獲得を、残り4レース。時間の問題だといえばそれはそうよ。だけど、ここに来てそれはないでしょうって感じのルール解釈。ドライバーもチームも観客も、解説者すら読み間違う「ルール」なんて、「運営者の独り善がり」って話で、「ルール」ではない。

バーニー、いや、チャーリーの時代にもいろいろあったけど、流石にこんな状況にはならなかったと思う。年間24レースもそうだけど、チャーリーがいなくなってから、なんかこう、色々と勇み足が目立つF1。来季以降も大丈夫かこれ。

今回のDODはヴェッテル。アロンソとのバトルに始まり、アロンソのバトルに終わった。しかし6位を文字通り死守した。今季で引退のヴェッテルは鈴鹿ラストランだったけど、「鈴鹿だったらまた走ってもいい」との言葉を残す。ぜひスーパーフォーミュラに来てください(^_^;)。バトンと言う前例もあります。みんな大歓迎だと思います。

ファステストラップはジョウ(周)。中国人としての初めてのファステストラップという記録は貴重だ。それがポイントにつながらなかったとしてもだ。

角田は、ポイントゲットこそならなかったけど、バランスの悪いマシンでQ2進出、レースペースも決して悪くなかった。来年はチームメイトがガスリーからデ・フリースに変わることがレースウィーク中に発表されたけど、少しずついい方向に向いている、と信じよう。

などと考えながら、諏訪SAで温泉に浸かって来た。ちなみに、ここのSAの温泉は夜22時には閉まってしまうので、今回みたいなものではない、通常にドライ環境でのレースだった場合、ゴールまで全部見て、その後の渋滞を切り抜けてから到着しても、入れない可能性が高いのだった。来年からは、もしまた来るとしても、計画を練り直す必要がある感じですな。

というわけで、長々かなり無駄なお話にお付き合いくださり、ありがとうございました。次戦はアメリカ(COTA)。コンストラクターズタイトルの行方と一緒に気になるのがレッドブルの予算超過違反。どうなるんだ。

日本GP観戦記の2回目は、土曜日のセッション観戦記ということで。

駐車場を探す段階になったけど、予想通りというか何というか、サーキットそばでも、当日に入れる駐車場はあった。出し入れ自由の2日券を購入。これで拠点も定まった。FP3は12時から、予選は15時からだったが、開場は8時。7時半過ぎにはメインゲート前は混み合っていたし、ゲート前の売店も次々に開店していた。書き入れ時ってやつ?そんなところにすでに来ている自分たちも大概だけど。

これにはちょっとしたからくりがあり、レース期間の西コース区間は、ヘアピンを除いてほとんど自由席となっている。ヘアピンは、2010年だったか、小林可夢偉がここでオーバーテイクを連発した影響からか、その後は指定席になったようだ。考えてみれば、自由席組はいい場所で見たいから、開場前から並ぶだろうし、開場したらダッシュになるわけだ。それはもう仕方がないのだ。

娘2がコースを知りたいということで、まずは東コースから歩き出す。1〜2コーナーあたりはオーバーテイクの定番箇所なので、席も多めに設けてある。S字も見渡せるし。S字の席も逆に1〜2コーナーが見れて、いい席だと言える。S字の中にレッドブル、アルファタウリの応援専用席が設えてある。ここは席の入り口からしていかにも「専用」だ。彼らのためには専用応援グッズも用意されているし、ドライバーパレードの際にはホンダドライバーの挨拶セレモニーもある。

僕らが購入した席はその先、逆バンク〜ダンロップコーナー付近になる。S字から抜けてきて、上り勾配になるので、コーナーではあるけどアクセル全開ポイントだ。その先、ダンロップからデグナーへ抜ける部分も指定席があるけど、昔はここは自由席だったはずで、ここの頂上からだとホームストレートエンドから1コーナーを遠くに望むことができる。実際、90年にはここに陣取ったおかげで、プロストとセナのスタート直後のクラッシュを小さいながらカメラに収めることができている。当然当時は頂上までぎっしり人が詰まっていたが、今は指定席だし、頂上までは設けられていない。

ここまでで気がついたのは、西コースの自由席組のこのあたりへの進出を阻む目的なのか、コースを見ることができるフェンスにシートが掛けられて、見られなくなっていること。30年前は自由席が多かったせいか、それとも開催されて年数が経っていなかったからなのか、結構自由だった。当時は土曜日のFP2や午後の2回めの予選はコースを歩き回っていろいろな場所から写真に収められたものだったが、その自由度が圧倒的に下がっている。

ここから地下道を通ってグランドスタンド裏の広場に戻り、そこから今度は西コースへ。シケイン〜最終コーナーまではスタンドも常設で、スタッフもなんとなく仮設スタンドのスタッフよりもかっちりしている。値段もあれだからなぁ。

130R方面に向かうと、コース脇の通路の林がきれいに整理されていて、通路も一応舗装されているのに時の経過を感じるw。あのころは林道と言った雰囲気なところを抜けていくと、ヘアピンや200Rが現れる感じだったのだが。あと屋台が激増しているし、食事のバリエーションも不満がないくらいに増えている。昔は粉ものしかなかったんだが(^_^;)。席の快適環境は格段にアップしている。

半面、フェンスの目隠しシートはこのあたりも展開されている。西コースは基本自由席だから、このあたりにも目隠しがあるってことは、通路観戦による混雑対策なのかもしれないね。

そのままスプーンまで行く。スプーンは自由席としては見晴らしがいい。ただし200Rからスプーンの立ち上がりまでという感じになるので、コース的には単調になりやすい。それに続く裏ストレートも加速のためのエンジン音は迫力あるけど、それだけっちゃそれだけだから・・・。スピード速いので写真も難易度高い。西コースではヘアピンがマシンも溜まりやすく、面白い写真が撮れるのだが、もちろん目隠しシートが。残念である。人が少ない金曜日くらいはこのあたりの制限をはずしてあげればいいのにとも思うけど、そうなると金曜日の夜の作業が半端ないだろうから、仕方ないのかな。

しかし、ここまで歩くと、病み上がりの身にはちょっときつかったかも、ってことで、一休み入れてから自分の席へ。結局まともな写真が狙えるのは自席、もしくは自由席で開放されている場所だけということはわかった。それから、機材についても一般観客には制限が設けられていおり、全長25cmを超えるカメラ(レンズ込み)はカメラマン席でしか使えない。今回は、500mm反射レンズを持ち込んだのだが、それが正解だった。100−300ズームも下手すればこれに引っかかるかも。問題は単焦点なので、画角や構図が選べないところ。利点はその小ささと焦点深度が浅いので、フェンス越しでも目立たずに撮れるところ、かな。

FP3を自席から見る。やっぱり音の迫力がテレビ越しとはぜんぜん違うなぁ。この音を聞くだけでも実地に来るには十分に価値がある。あとはマシンの色使い。蛍光色を採用していると写真やテレビでは反映されない。有名なのはマルボロカラーだった頃のマクラーレン。写真で見る赤は普通に赤で、あんなもんかと思うけど、実車は蛍光赤だ。印象がまるで違うのだ。今回は蛍光色はあまり使われていなかった。マクラーレンの紫ラインがそうだったかも、程度だ。

その他気になったのは、マシンの大きさ。明らかに大きくなっており、大きさとコース幅の兼ね合いで考えれば、これはオーバーテイクするのは難しいだろう。FIAはことあるごとに「オーバーテイクが多いレース展開」を口にするが、だったらDRSよりもマシンを小さく、それでいながら安全性も落とさないという課題に本気で向き合わねばならない。

参考までに、1965年のホンダRA272は、今回デモランを行っているが、全長が3950mm、全幅は1675mm、重量が495kg。現在のマシンレギュレーションだと、全幅が2000mm。全長の規定はないがホイルベースが3600mm以下、重量は795kg。全幅2000とか、最新のクラウンクロスオーバーだって1840mmしかないし、世界的に見ても、全幅2000オーバーなんてハマーとかロイスとか数えるほどしか存在しない。スーパーカーはでかいと思われるかもしれないが、2000オーバーはムルシエラゴだけだぞ。

さて、実地で観戦してみると、流石にタイムとか、実況的な情報はテレビにはかなわない。場内アナウンスが主な情報で、電光掲示タワーには順位しか示されないし、そもそも場所が遠いので、望遠で見るしかない。娘2は結局双眼鏡を購入していた(鈴鹿サーキットのマークがプリントされていて、そこはちょっと羨ましいが)。iPad持ち込んでDAZNに実況してもらうとかの手は無きにしもあらず。今は便利だ。

FP3後、車に戻って一休み。結構歩いた結果、新調したトレッキングシューズ(雨対策の一環)がちょっと足を傷めている。少しくらい慣らしておくんだったか。昼食はどうしよう。入り口広場とかは人が一杯で屋台も人が並びまくっている。予選前に広場で何かを買うのは無理っぽかったが、E席裏の屋台群は意外と空いていた。ここで昼食を調達。しかし、チャーハンとかローストビーフ丼とか、隔世の感を感じまくりだ。

予選終了後、駐車場に戻り、動き出すにしても終了直後は混雑に巻き込まれるだけ。前夜祭とかに出る元気はふたりともなく、休憩入れてから近所のコンビニに買い出し。ほんとはイオンに行こうかと思ったのだけど、通行止めとかの措置もあったりして、うまくたどり着けなかった。なぜそんな事になったいたのかは、翌日決勝日にわかることに。軽く食事しただけで、そのままさくっと寝てしまった。

3年ぶりに開催された日本GP。僕としても29年ぶりに現地に行けた。長くなっちゃったので、数回に分けて書くことにする。

最後に鈴鹿の現地でF1を見たのは実に独身時代の1993年。その前は1990年、1991年に観戦できているが、結婚後はそういう機会に恵まれなかった。テレビ観戦も、フジテレビがCS放送となって有料化したあとは、ネット観戦でブックPCの13インチ画面で細々と見る、という感じになっていた。放映時間帯も深夜がほとんど。

もともと妻のはろはレースについて、僕が見るのは構わないけど、自分で見ることはないし、時間帯の兼ね合いで子どもたちが見ることも、小さかった頃はなかったわけで。息子1が高校を卒業したころに、一時期一緒に見ることもあったけど、定着しないうちに息子1は就職、独立。それ以降も僕一人で観戦という状況が続いた。ちなみに、息子1は自動車関係の職業に就いているので、機会があれば現地観戦したい、とは言っている。

潮目が変わったのは去年。DAZNで観戦することにしたあと、テレビも新調して、DAZN含めて大画面で見られるようになった。高校3年だった娘2が、なぜかそこで興味を持った。今でもなんで興味を持ったのか、僕には判然としないし、彼女の友人関係にも不思議がられている。ともかく、その結果、F1開催ウィークになると、二人で観戦することが通常になった。

明言しておくが、一緒に観よう、と家族を説得したことはない。他の趣味、音楽にしろ、お絵描きにしろ、読書やブログにしても、自分がやりたくてやってることで、他の方にそれを勧めるのは最小限にしていたつもり。考え方は、「最初の機会は提供するけど、それを選ぶのは受け取った人自身。」それで僕の趣味群は、適当に子どもたちにばらまかれていったりいかなかったり。それでいいじゃん。

いずれにせよ、そんなわけで、娘2はF1に入門した。そして今年。いきなり鈴鹿に行きたいと言い出した。僕が胆嚢炎やら娘1の独立やらで色々あった時期にチケットの発売が重なった。チケットが取れるかどうかは不明だけど、僕はチケット購入時は動けないけど、取れるなら一緒に行くか、って感じで任せてみたら、購入できたということで、行くことになったわけだ。

主催者発表では決勝の入場は94,000人。チケット完売でこの人数。あれあれ、僕が最後にでかけた93年でも10万人超えてなかったっけ?って調べてみたら、151,000人と出た。ふうむ。だいぶ減った、というより減らしたのか。

3日間通しのチケットだったけど、流石に仕事に穴を開ける訳にもいかない。前のときもそうだったけど、金曜日の夜中に出発して、朝に鈴鹿入り、残念ながら宿は取れなかったので、駐車場で車中泊、ただし、駐車場もサーキットから提供された駐車場には残念ながらはずれ、予約のある民間駐車場もうまく取れなかったので、駐車場は出たとこ勝負と言うかたちになった。とは言え、前回もそこは飛び込みでもなんとかなった記憶なので、あまり心配はしていなかった。

金曜日の夜というか土曜日の未明というか、そんな時刻に家を出発。新東名高速を淡々と走る。金曜日の昼間はすごい雨だったので、高速とかきついかな、と思っていたところ、雨は夜にはやみ、路面はほとんど乾いた状態で走ることができた。途中休みをはさみながら、予定通り朝7時位に鈴鹿サーキットの前を走っていた。

3年ぶりにシンガポールに戻ってきたF1サーカス。だが、ここのコースって前からこんなにツギハギだらけだったっけ?と、昼間に行われたFP1を見て思ってしまった。前回まではFPも夜間に行われていた影響だろうか。実際、夜間に行われた他のセッションではあまり気にならなかった。前回まではFPなどは見られていなかったから、その影響もあるのかもしれない。

2日目、3日目と雨に祟られ、予選や決勝の結果に大きな影響を与えた。フェルスタッペンは、チャンピオンへのプレッシャーがあったのだろうか。先期まではチャレンジャーだったのが、防衛する側に回ったからなのか?ともかく、予選も決勝も最近の彼にしては「らしくない」ミスが目立った。こんなミスが出たのは、そうだな、チームメイトがリカードだった頃くらいまで遡らなければならない。やはり、こういう場面では誰だって緊張する。それを克服してタイトルを取るから価値があるんだ、と思い知らされる。

翻って角田。彼は今年夏くらいからすっかり駄目になってしまったように見える。スピード的にはガスリーに負けてない。そこはいいのだ。今は結果を求められるときだが、どうにも結果を出せない状況。来季も走ることが決定したようだけど、それで安心してはいけない。しかしコメントに緊張感が見えない。来季の出走が決まったこと自体、レッドブル陣営のポリシーから考えれば驚きだった。ボーデ、ベルニュ、ブエミ、アルグエルスアリ、ハートリー・・・人材をどんどん替えて試しては替えて、それが回らなくなったということかもしれない。ミックと比べても、今の角田が秀でているとはちょっと思わない。

そんな中で優勝はペレス。SCに対する動きで物議を醸したけれど、終盤のあの走りを見て、彼から優勝を取り上げるようなペナルティを与えるのはちょっと難しい。戒告と5秒ペナルティはリーズナブルだったんじゃないか。ルクレールもペレスから5秒以内のタイム差をキープし続けることができなかったし、ズルズル遅れていってる様子の中で優勝を与えられても。

さて、次戦はいよいよ今週末、鈴鹿。娘2が頑張ったおかげで、今年は29年ぶりに現地でその時を迎えることができることになった。またあの雰囲気を味わえるなら、結果は度外視して、悪くない。

今年のヨーロッパラウンド最終戦となったイタリアGP。FIAの記録によれば、同一サーキットでのF1GP開催は最多の地となっている。

そんなモンツァの地で、ジンクス的に言われているのがレッドブルはここでは弱い、ということ。実際記録を紐解いてみると、昨年まで、モンツァでレッドブルが勝利したのは2011年のヴェッテルだけ。いや、少なくともヴェッテルはもう1勝くらいしてるか、と思ったら、それはトロロッソ時代なのね。意外。

そんな過去だけど、このサーキットは基本的にパワー勝負。去年までのメルセデス最強伝説が崩れており、レッドブルパワートレイン(実態はホンダ)のパワーが他を上回っている今年は流れが違うだろうと予想はしていた。

ベルギーに引き続き、ここでもパワーユニット系の交換によるペナルティが相次ぎ、予選が終わってからしばらく経たないとグリッドが確定せず、スピード順には並ばないためレース展開が読めない。一応予選では、フェラーリが意外と一発の速さがあり、レッドブルと真っ向勝負と言った感じになった。ただ、リアウィング角度などを見ると、レッドブルのほうがダウンフォースをつけているためタイヤの滑りは抑えられるので、結局は有利という雰囲気だった。

ルクレールがポールで、2番めタイムのフェルスタッペンはグリッド降格で7番目スタート。だが、今のレッドブルはスタート位置など全然関係ない。序盤であっという間という雰囲気でトップに立つと、あとは盤石という感じだった。最終盤で、リカルドがストップし、マシンの撤去に時間がかかったので、SCのままゴールとなったが、上位の序列にはおそらく影響なかっただろう。フェルスタッペン、ルクレール、ラッセルの順番はマシンのポテンシャルから見ても、同じタイヤでのリスタートなら逆転の目はない。3人共SCでのタイヤ交換なかったし。

SCで割りを食ったのはリスタートを見越してタイヤ交換をしたチーム。運営側としては、マシンの撤去の体制を充実させなければならないだろう。

話題としては、ウィリアムズのアルボンが虫垂炎で降板、FP3から急遽ニック・デ・フリースの出場となったこと。(アルボンは手術後、麻酔の影響により呼吸不全に陥り危なかったとも伝わる。無事に回復して何より。)そのデ・フリースはほぼぶっつけ本番のウィリアムズのマシンで初走行初入賞。これは、またもポイントが取れずに終わったラティフィとは対照的な結果となったし、これまでスーパーサブとしてよく登場していたニコ・ヒュルケンバーグをも軽く上回った結果となった。この結果に、ラティフィの今後がめちゃくちゃ気にかかる。ウィリアムズのボス、カピートさんはラティフィは今期いっぱいドライバーとして走らせる、とかねてより明言している。しかし、ラティフィの今後の契約はヨーロッパラウンドの結果で決定する、とも言っている。果たしてラティフィの命運やいかに。

そのシンガポールまでは2週間ある。条件次第ではシンガポールで今年度のチャンピオンが決定する。そうなったら鈴鹿以降の5戦は消化試合だ。いやぁ、できればそれは勘弁願いたいけど・・・。

フェルスタッペン今期10勝目。
メルセデスのペース、特に中盤以降のハードタイヤでのペースにより、かなり窮地に立たせられていたシーンもあったけど、角田のリタイヤによるVSC、ボッタスのりタイヤによるセーフティカーに助けられた部分もあり、終わってみれば今期4連勝で立場を盤石にした。

メルセデスはここ、ザントフォールトのコースがマシンに合っていたようで、FPから一貫して強さを見せていたが、真っ向勝負になるとレッドブルには遅れをとる感じではあった。それでもフェラーリをねじ伏せることに成功、ラッセルが2位をゲットした。ただ、ハミルトンはボッタスのリタイヤ時の作戦がラッセルに有利だったこと(ラッセルソフトにチェンジ、ハミルトンハードをキープ)により割りを食い、4位に後退した。この感じ、去年のアブダビによく似ている形になったが、フェルスタッペン的には今回はより楽に展開した。ポイントを最大限取ろうと思ったら、ハミルトンもタイヤチェンジしたほうがおそらく良かった。メルセデスもフェラーリも安全策と思った事がうまくハマっていない。

フェラーリは、なんだろう、特にサインツはドタバタ。ピットイン時にタイヤが用意されていないとか、それでホイールガンをペレスに踏まれたり、その後もアンセーフリリースで5秒ペナとか、何をやってるんだろう?ルクレールはフロントローからのスタートだったのになんだか目立たず、最終的に3位にはなったものの、そういうレースを目指していたわけではなかろう。

その他、アルピーヌからの離脱になるアロンソは、離脱を発表したあとの方が力強いレースを展開している。アルピーヌは結局ピアストリをマクラーレンに奪われたが、来期のドライバー、オコンのパートナー選びが振り出しに戻っている。どうするんだ。噂ではガスリーの可能性が高そうだが・・・。

アルファタウリは、全般的に角田のほうがガスリーをペースで上回ったが、デフの故障と考えられるトラブルでリタイヤ。ガスリーは全く目立てずポイントも取れず。今年のアルファタウリはほんとに厳しい状況。

これで週末はイタリア。ここはスピード勝負なのでレッドブル有利、のはず。フェラーリは後がないこの状況をどう盛り返すのか。盛り返してくれないと終盤戦の興味が削がれる。

フランスGPもハンガリーGPも見ていないわけではない。とは言え、フランスGPリアルタイム観戦中に腹痛がひどくなって入院し、ハンガリーGP開催中は入院中だったため、個別レポートはお休みとさせていただいた。

さて、ハンガリーのあと、近年恒例の夏休みを挟んで、休み明けとしてはこれも恒例となってきたスパ・フランコルシャンでのベルギーGPだけど、昨年は大雨の末わずかなカルガモ走行で終了となってしまったことは記憶に新しい。その影響もあってか、今年で開催が最後になるという話で、実際ほぼほぼ決まりかけていたところ、来季開催を予定していた南アフリカ(キャラミ)がキャンセルとなったことで、カレンダーに復活したそうだ。雨さえなければこのコースは他にはないロングコースなので、なくなってほしくはないなぁ。

フランス、ハンガリーといまいち不本意な負け方をしたフェラーリが、ここは巻き返すのではとの下馬評だったが、蓋を開けてみると、レッドブル、特にマックスが絶好調。予選では衝撃的なタイムでポール。パワーユニット交換によりスターティンググリッドは14位だったものの、わずか10周くらい後にはらくらく首位を奪うと、ピットのタイミングとかはあっても、ほかを寄せ付けることなく、文字通り楽勝。今後、全戦リタイヤとかでない限り、ほぼチャンピオンを獲得できそうな雰囲気である。

一方のそれを阻止すべき立場にいるはずのルクレールは今回もチームの作戦が微妙で、ファステストを奪いに行くはずの最後のピットで速度違反により、逆に順位を落とす(しかもファステストは結局奪えていない)など、課題の多さを露呈してしまった感じ。

ハミルトンがオープニングラップでアロンソのタイヤに乗って大きく跳ねるというアクシデント。ああいう飛び方をしてもドライバーは無事っていうのは救われるけど、あれでアロンソのマシンがほぼ無傷っていうのも興味深い。

もともとパワーユニット交換が多かったため、スターティンググリッドには混乱もあったし、アルファタウリの二台は先に角田がピットレーンスタートとなっていたが、スタート直前になってガスリーもピットレーンスタート。なんだか流れが良くない中、ガスリーは2ポイント持ち帰った。角田は最初のタイヤ交換に手こずった。中団はタイム差が本当に少ないため、ピット作業のミスは命取りになる。結果ペースはガスリーと比べても遜色なかったに関わらず、最終的には13位フィニッシュとポイントに手が届かず。この夏休みからすでにストーブリーブが加熱していて、この状態が続くとチーム残留に響くと思われる。このあとは連戦になるので、少しでも調子を上向けてほしいものだ。

その次戦はすぐにこの週末、オランダ。フェルスタッペンのホームとなるが、特性的にはフェラーリのほうが有利なはずなんだよね。今回のベルギーを見るとそんなの関係ないんじゃ、とも思えるけど、果たしてどうなるか。

何はともあれまずは一言。「フェルスタッペンファンが多いのはいいけど、コースが暗くなるほどの発煙筒からの煙はいかがなものか。」何事にも程度というものがあるはずで、観客席全体が煙に覆われてコースすら見えなくなるという状況が適正だとは流石に思わない。レースを見に来ているのか、騒ぎたいだけなのか。応援される本人は「なんともない」「応援されるのは嬉しい」言うだろうけど、それが全てじゃないと思うのだが。

さて、再びのスプリントレース開催だったけど、やっぱり時間割には違和感が拭えない。FP1から予選はまぁいい。スプリントレース前のFP2の役割が最初から全くのムダで理解不能。だって予選以降はパルクフェルメルールによりマシンセッティング変えられないわけで、それでわかることといえば、そのセッティングによるタイヤの摩耗具合程度で、しかもそこで不具合が見出されても、セッティングで対応することもできない。ただ走らせるだけだったら、そのFP2セッションは不要だ。昔あった決勝当日午前中の「ウォームアップ走行」がなくなったのであれば、FP2をなくすこともできるはずだが。

僕としての考えを言えば、スプリントレースを午前にして、そこからレースのための新たなセッティングのためのFP2を午後に持ってくる。スプリントのためのセッティングと決勝のためのセッティングは変えてやれば、決勝の予想もつきにくくなると思う。スプリントレースをご補で固定することにこだわるのであれば、現在のFP2は廃止して、先も述べたウォームアップ走行の時間帯を決勝のためのプラクティスとして復活し、そこでのセッティング変更を解禁する。同じセッティングで距離が違うだけのレースを2度見せられるよりは、そちらのほうが生産性があると思うが。

スプリントと決勝で勝者が異なったため、大きな問題とはなっていないようにも見えるが、スプリントの時点でセッティングに瑕疵が見つかっているのであれば、その状態でさらに決勝を走らされるのは、ドライバーにとっては苦痛でしかないはずだ。

その上での決勝。フェラーリのルクレールは薄氷の勝利だったし、サインツのエンジンブローもあって、勝利できても全然安心できない。レッドブルはセッティング方向性のミスと思われるタイヤデグラレーションの大きさにより後退。メルセデスはハミルトンのモチベーション上昇により、3位表彰台ゲットだが、純粋なスピードではまだ上位2チームにアドバンテージがあろう。

特筆すべきなのはアルファタウリのスピードのなさと、ガスリーと角田のリレーションシップのほころびが大きく感じられるようになったこと。それはガスリーが角田をルーキーではなくライバルとして意識し始めているということと裏腹ではあるが、両者とも似たような下位でのレース展開を余儀なくされたことは、アルファタウリのマシンの限界が見えたということであり、早急なアップデートが必要だ。幸い次のフランスまでは2週間あるので、そこで立て直すことが喫緊の課題となるだろう。

もう一つ、ミック・シューマッハについても書かないといけないだろう。イギリスGPで初入賞後、今回も2連続でポイントゲット、しかも6位入賞は30年前でも入賞となる堂々たるもの。これでブレイクしたと評価してもいいと思うし、今年の総合ポイントでも角田を上回った。マグヌッセンも安定した走りを見せているが、今回、彼よりも上位に入賞したことによる評価も高い。マグヌッセン自身もミックのことを称えている。父親のミハエルほどの切れ味はないようにも見えるが、ミック本人は、これまで全てのカテゴリーで2年目には結果を出しており、F1でもそのとおりになりつつある。そちらの方も今後楽しみになってきた。

今回は書きたいことがいっぱいあるんだけど、書いているうちにすでにオーストリアも終了してしまうという状態で・・・。できるだけ簡潔にまとめてみる。

FP、予選が雨絡みで、アップデートがあったチームは確認が大変だっただろうと思う。そんな中、メルセデスがついにポーパシング、バウンシングの対策を完了できたように見え、ラッセルの通信からも「No Bouncing」のメッセージが聞けたことは進歩。ここからメルセデスの反撃が始まるようだ。ドライバーが両方ともイギリス人であるところ、彼らのホームであるイギリスGPでこの状況は、彼らとしては本当に待ちに待ったことだし、くるものがある。

そんなわけで、レッドブル、フェラーリの争いにメルセデスが割って入れる体制が整い、決勝も楽しみになったわけだ。

で、その決勝は、スタート直後の複数のマシンが絡む大クラッシュに始まった。周が横転したままグラベルを流れるように滑っていったのだけど、タイヤバリアの直前でクルマが跳ね、タイヤバリアを飛び越えていくというちょっと信じられない展開。ランオフエリアに対する論議が高まりそう。僕の考えを述べれば、ランオフエリアに関しては、ターマックが基本で、ただし、オーバーした際のペナルティ要素を上げる目的で舗装の質をコースとは違うものにしたらいいのでは、と考えている。どんな路面かっていうのは考察が必要だけど、タイヤへの攻撃性が高い、高μで、骨材が尖っている(でも高さは揃っている)ような舗装があればと思っているが。

クラッシュ自体は、誰がどう、というものじゃないと思うけど、原因としてはやはり前日の予選の雨で、スターティンググリッドの並びがドライのそれと比べてある程度シャッフルされていた可能性は否定できない。影響を受けたのは順不同、僕の確認できただけで、周、ラッセル、アルボン、ガスリー、オコン、ヴェッテル、角田。

ここで特筆なのはやはりラッセルかな。マシンを飛び降りて周の救援に駆け出している。称賛されるべきだし、その後マシンがマーシャルに運ばれてしまいリタイヤとされたが、そこは救済措置があって然るべきと考えられる。パンクはあったものの、マシン本体にダメージは、画面越しでは認められなかったこともある。フロントサスのアッパーアームが壊れてもピットまで自走して、1時間弱の中断中に修理して戦列に復帰したオコンを見ても、公平ではないものを感じる。レースは赤旗中断後、最初のスターティンググリッドからの再スタートとなったわけで、これも不公平感に拍車をかける。さすがにTカーが認められていた時代に戻せとまでは言わないが。

再スタート後の話はほんとに思ったことの概要だけで。まずはアルファタウリ。ポイント圏内走行中の同士討ちは絶対に避けるべきだった。それに関しての角田の責任は重い。結果論でフェルスタッペンの結果にも繋がったが、そこは致し方ない。結果無得点というところがまずすぎるのだ。

フェラーリのルクレールに対する作戦もよくわからない。サインツの初優勝に水をさすつもりは全くないが、オコンストップの時点で、前にいたのだから、サインツは割を食う形になってもルクレールはピットに入れるべきで、ダブルピットストップもしくはサインツステイアウトが順当だったのではなかろうか。そうすれば、ペレス、ハミルトンのどちらかは後ろになったほうが抑えきれたような気がするけど。

結果はサインツ初優勝。それは良かった。ペレスが2位でハミルトンが3位と珍しいポディウムだったが、ハミルトンの表情や表彰式での3人の関係が柔和で良かった。ハミルトンの控室でのこういう表情は本当に久しぶり。いいものを見られたと思った。イギリスGPの話は以上で。

夏至の近いこの時期とは言え、アメリカ大陸でのF1は起きるのが辛い、という個人的な事情はともかく。

雨絡みの予選でのアロンソのスーパーラップにはしびれたし、それを上回るフェルスタッペンにもさすが、と感じた。

レースでは色々交換してテールエンド19位からのスタートとなったルクレールの走りや、フェルスタッペンとサインツの勝負も良かった。何より、ここ数戦、タイヤのデグラデーションがレッドブルより悪い状態が続いていたフェラーリが、ここではその状況を確実に改善してきたところがサインツの追い上げからは見て取れた。無線が不調だったフェルスタッペンも、それを感じさせない圧巻の走りだったし、3位のハミルトンが復調の兆しを見せたこと、3位表彰台で笑顔が見れたことは、久しぶりに良かったと思った。

表彰式の前の控室で、レースの振り返り映像が流れるのだけど、角田のピットアウトクラッシュにフェルスタッペンとサインツが反応してたのが面白かった。「あそこ、バンプあるんだよね」なるほど。そうは言ってもそれに引っかかるようではまだ未熟ってことだわね。「言うのは簡単」と言われそうだけど。最近悪い流れになっている角田には次でその流れを断ち切れることを祈ってる。

次はイギリス、シルバーストン。フェラーリに合ってるような気がするけど、どうだろう?

ここの公道サーキットは、長い直線あり、テクニカルコースあり、細道ありという難コース。例年クラッシュも多く、波乱含みな展開になることが多かったのだが、今年は目立ったクラッシュは起きなかったのが救い。

それでもフェラーリが2台とも故障が原因で消えるとは思ってなかったし、角田のDRSが真っ二つになるとも思ってなかった。っていうか、F1でオレンジボールなんてこの30年以上見たことないって。ハミルトンがポーパシングで背中を傷め、ゴール後にマシンから這いずるように出てきたり、ドラマには事欠かなかった。

結果としてレッドブル楽勝という感じになってしまったが、シーズンとしてみても、今は完全にレッドブルに流れが行ってしまった。フェラーリはなんとしてもここで信頼性や戦略を立て直さないといけない。

しかしカナダは今週末。移動距離が長いので、対策期間は少ないを練っている期間は短い。最近のF1はチームてんてこ舞いだよねぇ。いろいろと大丈夫だろうか。

スタート直前に雨が降ってきて、それによってスタートが1時間遅れるとか、波乱の予感はあったのだけど、終わってみればレッドブルとフェラーリがトップ4のままという、奇跡的に荒れない雨のモナコだった、というのが正直な感想。

だけど、モナコではオーバーテイクはほぼないという特性も遺憾なく発揮され、ミディアムタイヤがほぼ終わった感じのペレスが、ハードタイヤに余裕のあるはずのサインツを抑え切ったり、3位、4位も同様にフェルスタッペンがルクレールのアタックを防衛できたり。

その後手に回ったフェラーリは、ピットインの指示がスムーズにできず、割りを食った形のルクレールが激怒していた。最初にフルウェットからインターミディエイトへの交換がまず余計だったし、サインツとダブルピットも意味がわからない上に、ピットロードに来てから「ステイアウト」の指示とかもうどうにもならないのでは。

ルクレールに関しては、ポールを取ったからか、モナコ出身だからか、決勝前のセレモニーでモナコ大公家の前で一人で立たされたり(去年はなかったそんなもの)、余計なプレッシャーもかけられた感もある。エンターテインメントに振りすぎだよね、こういうところ。

ミック・シューマッハのクラッシュは心臓に悪かったけど、ミックが無事だったので、そこは良かった。ハースはまたしてもマシン全損に近いので、予算大丈夫か、とは思う。ガスリーは抜けないはずのモナコできれいなオーバーテイクを見せたが、予選でのチームのミスが足を引っ張った感じ。角田は、予選はともかく決勝は彼の日ではなかった。

次戦はアゼルバイジャン。ここも市街地で、色々ありそうだけど。今のメルセデスは市街地に弱い感あるし、またフェラーリ、レッドブルを中心に展開しそうだ。

かなり序盤でターボ周りにトラブルが発生したフェラーリとルクレールはもったいなかったかも。

ただ、サインツとレッドブル2名のラップタイム変動を見ていると、ルクレールがあのペースで最後まで走りきれたかどうかはわからない。タイヤコンパウンドも2種使わなければならない現在のレギュレーションを鑑みても、最後はもつれていた可能性は捨てきれない。

サインツとフェルスタッペンが4コーナーでコースアウトした原因は突風によるものと聞いているが、これが、特にレッドブルのコンビの関係に水を差す一因にも。更にフェルスタッペンはDRSに不具合を抱え、ラッセルを抜きあぐねていた。その間追いついてきたペレスとのポジションの関係、ペレスがミディアムで長いスティントを走っていたときに、フレッシュなミディアムでみるみる詰めてきたフェルスタッペンとのポジションチェンジ。その場その場で判断すれば、ペレスの不満は理解できる。

しかし、シーズンを見通せば、ここでフェルスタッペンを無理ない形で勝たせ、ポイントリーダーにしておくことには意味があったはず。どこまで行っても、結局エースはフェルスタッペンで、ペレスにはフェルスタッペンがどうにもならないときにチャンスが回ってくる、そういう事にならざるをえない。

メルセデスがここで施したアップデートが的中し、メルセデスは完全に3番手のチームに浮上した。ラッセルがここまで全レースでポイント獲得する活躍もあり、踏みとどまっていたのが、ここで効いている。ハミルトンはここまでネガな状況が続き、今レースも序盤にマグヌッセンに絡まれて最後尾まで落ちたときに「ここでエンジンをいたわるべきでは」(すなわちリタイヤしてエンジンマイレージを温存する)発言などあったが、ピットの否定により、結果最終盤までに4位に上がっている。オーバーヒートで5位に後退したけど、それがなければラッセルと4・5位でフィニッシュできたはずだ。

角田はマイアミと違い、ここでは堅実なレースを展開した。10位という結果は、ここで目立ったアップデートを投入せず、マイアミで下位に沈んだことを考えれば健闘したと言える。ガスリーにはFPでトラブルが出たがそのぶんしっかり走り込んでセットアップを煮詰め、FP1ではまともなタイムを刻めていなかったマシンを、ガスリーとともにQ2進出につなげたのもちゃんと仕事ができているということだろう。

それから、ハミルトンがレッドブルのマシンにパルクフェルメで触れたという噂が飛び交っている。去年の終盤ならともかく、今の彼には、そうすることで、なんの利益があるというのだろう。完全に濡れ衣だと思うし、そんな噂が出ること自体がおかしい。動画見たけど、完全に避けてるよ。

次戦はすぐにモナコ。ここでは、アルファロメオとボッタスに注目。低速なコースではこの組み合わせはなかなか行けそう。トップ争いはフェラーリが有利なような気もするが、レッドブルも最近は差を詰めているので、なかなかおもしろいレースになるのではなかろうか。

とりあえず、例年だったら今日から始まるはずのモナコ。昨年までの特別日程がなくなって、通常フォーマット開催になったおかげで、このエントリーもモナコGP開催前に出すことができて良かった、ってそんなオチなのか。

今期から、アメリカではF1が2戦開催される。通算11ヶ所目の開催と言われると多そうに見えるけど、日本だって過去4ヶ所で開催されている(富士、鈴鹿、英田、オートポリス)わけで、広大な国土から言えば、まぁさもありなんってところだろう。

さて、初開催となったこのマイアミGPだけど、アメリカンフットボールチームであるマイアミドルフィンズの本拠地であるハードロックスタジアムの駐車場にコースが設置されたという。終了後はまた駐車場に戻すのだろうから、今後毎年開催するとなると作っちゃ壊しなわけ?なんか効率悪いような気がするし、それでなくともレースは環境問題に逆行していると言われる昨今、それはどうなんだろうと思ってしまう。

なんだかネガな話から入ったけど、コース自体はなかなか面白そうだった。実際のコースを見ると、ターン14となるシケインがちょっとした尾根になっているので、ここがかなりの鬼門となった。あとはターン7も難易度が高い感じだった。

FP3までは誰かしらが大きめのクラッシュを演じ、ロングランがあまりできなかったこともあり、タイヤの耐久性にはあまり自信がなかったチームが多かったのでは。そんな中、レッドブルのほうが今回はタイヤの持ちが良かったこともあり、予選こそスピードにまさるフェラーリにフロントローを持っていかれたが、レースになるとフェルスタッペンが早い段階でフェラーリ2台をかわし、その後はトップを譲らなかった。ペレスは途中の謎のパワーダウンで大差をつけられていた。

終盤のノリスとガスリーのクラッシュによるセーフティカー出動で差が詰まったので、トップ争いと3位争いは接近戦となったが、それぞれ前にいたフェルスタッペンとサインツが抑えきり、そのままの順位となった。序盤よりも終盤の方が荒れた展開となったのは、おそらく33℃にも達した気温が影響したのだろう。

メルセデスが5位、6位を得たのは現在の実力から行くと妥当かな。アップデートもそうだけど、セッティングがようやく定まってきたように見え、だんだんスピードも上がっていく感じがある。

アルファタウリは、ガスリーには安定感があるけど角田はレースでのスピードがなかった。FPの間もガスリーを上回る感じが見えず、予選だけ何故か爆発した感じ。今しばらくはまだ修行、かな。目立ったのは今回もウィリアムズのアルボン。この車で9位に入るのはなかなか難しいだろう。

次戦はヨーロッパに戻りスペイン。テストでも使われるコースで、ここに向けて大規模なアップデートを入れるチームも多いと思われるので、ここからのヨーロッパラウンドが、さらなる激戦になりそうだ。

雨という紛れはあったものの。

一昨年にコロナの影響で復活してから、3年連続で開催されているイモラでの一戦。昔はサン・マリノGPと呼ばれるグランプリだったが、復活してからはエミリア・ロマーニャと呼称されている。

去年もそうだったのだが、雨が絡むレースになった。サン・マリノ時代も4月末くらい、つまりこの時期に開催されていたのだけど、雨という記憶はあまりない。

今期のスプリントレースのうち、1戦はここで開催される。昨年試みで行われたときには、1〜3位までにそれぞれ3〜1ポイントが与えられていたが、今年は1〜8位までに8〜1ポイントが、ということで、20年位前のレースでのポイント付与を思い出してしまった。(確か1〜8位に対して、10、8、6〜1ポイントという時代があったはずだ)

さて、これまでの3戦、フェラーリがシーズンを掌握しているかの如き速さを見せ、それに食い下がれる速さを見せるレッドブルは、信頼性の問題で自滅、という感じの展開だった。ポイントをとれないレッドブルのスキを突き、速くはないけど信頼性に勝るメルセデスが着実にポイントを稼ぐシーンも多く、メルセデスでは新マシンに苦戦するハミルトンではなく、ラッセルがチームを引っ張る形になりつつあったが、それがここからどう変わっていくかという部分に興味があった。

さて、このエミリア・ロマーニャでは先ほど書いたようにスプリントレースがあり、実質1回のFPでセッティングを出さなければいけないため、アップデートは限定的で、不具合解消とセッティング変更くらいで臨むチームがほとんど。さらに雨の影響で、ドライでの評価はほぼできずに予選、スプリント、決勝と戦うことになるわけだから、並みの大変さではない。

そんな中で、フェルスタッペンが予選ポールからスプリント優勝、決勝もポールトゥウィン、ファステストも結局とるという強さを見せたのは、ルクレールが追い上げてくるだろうと予想していたので、ちょっと意外な結果だった。とはいえ、シーズン全体を考えれば、このままルクレールに一方的にやられてしまうよりはよかった。ペレスも2位に滑り込み、コンストラクターズの点でもやや混戦模様に持ち込めた。

フェラーリは終始速さを見せたのだが、サインツが2戦連続でリタイヤ。今回はもらい事故のようなもんだけど、運がない。ルクレールも、今回は3位走行中にソフトタイヤへチェンジしファステストを取りに行ったものの、エイペックスの処理を誤り車体がはねてスピン。これはもったいない。

メルセデスは・・・今後もしばらく苦労しそう。ラッセルが結果4位になったけど、フェラーリ、レッドブルに対抗できるスピードはない。ハミルトンはさらに重傷で、おそらく今年のマシンの扱いに自信が持てていない。結果アルボンを抜きあぐねているガスリーを、並びかけるところまではいくものの、抜くことができずノーポイント。周回遅れになるハミルトンを見るのは、ファンではないと言えども辛い。

最後にアルファタウリ。ガスリーは前述の通り目立つところなく。角田は、全セッションでガスリーを上回り、レースでも7位入賞と踏ん張った。昨年のこのイモラでクラッシュしてから低迷し始めたことを考えると、去年の仇はとったというところか。そろそろ上向いて欲しかったところなので、いい感じに成長したと言えるだろうか。

そんなところで次戦はいきなりアメリカはマイアミ。今度こそ誰も走ったことのないコース。どんな戦いになるのだろうか。おそらくまた大きなアップデートは入らないだろうから、メルセデスの苦戦は続きそうな・・・。

3年ぶりに開催されたオーストラリアGP。2年前はコロナの入口時代で、マシンもドライバーも会場に集まった上での直前中止だったので、お預け状態でみんな2年過ごした。

アルバートパークはコースが改修された。シケインだった場所が削除され、スピードアップという点ではプラスに働いたとは思うけど、オーバーテイクという観点からはあまりポジティブではなかったかな。

このオーストラリアまでは、欧州から見ればフライアウェイ開催なので、大きなアップデートは入れにくいのは確かなのだが、そんな中でも対策が急務と思われるメルセデスにアップデートが実施されないというのは、予算制限のことを考慮したとしても驚き。今年は20戦以上あるとしても、序盤のこの時期に「捨て」とするレースはなさそうだと思うし、完全を目指すメルセデスらしくない、と感じた。最終結果こそラッセル3位、ハミルトン4位だけど、その結果はフェラーリ、レッドブルが一台ずつ消えた結果によるもので、ある意味望外の結果とも言える。

フェラーリ、特にルクレールは盤石になりつつある。今回も余裕の勝利と言えるだろう。レッドブル、というか旧ホンダエンジンは信頼性が崩壊している感が強い。燃料系トラブルが続いているため、立て直しが急務だろう。特にフェルスタッペンにトラブルが集中するのは珍しい状況だと言え、これ以上続くようだとマックスが連覇を遂げるのはかなり困難だ。

今年の特徴として、接戦となる中団はちょっとでも気を抜くと一気に順位が滑り落ちる。そんななか、アルボン(ウィリアムズ)の「ハードタイヤでほぼレース全体走り切り」は、見ごたえがあった。レギュレーションによりタイヤ交換が義務付けられていなければ、ノーストップで走り切れたんだろうけどね。

今シーズン、車の挙動がナーバスなのは、上位から下位まで、すべての車に当てはまる。スピンアウトは誰でも起きる可能性があるので、あきらめなければ、誰にでも入賞のチャンスはある。その上でもピット戦略が重要だということを今回のアルボンは示したと言える。

あとは・・・ハミルトンが君臨していたころよりも、表彰台での人間関係は良くなったような気がする。相手を批判するようなインタビューも減った。新たなライバル関係が構築されていくと、この雰囲気も変わるのでは、という意見もあるが、表彰台のメンツは、毎回結構入れ替わりそうな気がしているので、それほど険悪にはならないような気がしている。フェラーリの天下がどれくらい続くかにもよりそうだけど。

今回、開幕2戦と違ってオーバーテイクは少ないレースとなったが、レースの面白さは、そういうことがすべてではないことを改めて認識できたと思う。

次戦はイモラでエミリア・ロマーニャ。サンマリノと称していたころが懐かしいが、ここでどのような戦いが待っているのか、楽しみに待つことにする。

やはり日本時間深夜2時スタートはきついなぁ、という個人的なボヤキは置いて。

去年からカレンダーに追加され、去年は最終戦前に組み込まれていたサウジアラビアが、今年は開幕2戦目ということで、開催スパンがわずか3ヶ月ということになった。公道を閉鎖してサーキットにするタイプなので、細かいコーナーが多々ありつつも、基本的にはストレートとみなせる部分が多く、公道にしてはスピードが高いのが特徴で、その割にはエスケープゾーンが狭く、ウォールに囲まれたコース。

そんな特性のサーキットなので、ドライバーからの視界もあまり開けている感じはなく、昨年もいくつか危険性を指摘され、対応したはず、だった。しかし、今シーズンからのマシン特性が大きく変わったこともあり、やはり危険性は大きく改善していなさそうだ。

予選Q2において、ミック・シューマッハの大クラッシュは、視界というよりは、新しいマシンのレギュレーションによるグラウンドエフェクトが、縁石の形状とその使い方を、一歩間違ってマシン下部が路面から浮き上がってしまうと、急激にダウンフォースを失うという特性によるものから来るものと思われる。この事故を受けて、ミック本人は無事だったものの、決勝は出走せずという対処となった。

アルファタウリはマシンの信頼性が問題。初戦のガスリーに続き、今回は角田が予選、決勝ともに走れず。今回ガスリーは完走して8位に入った。

メルセデスはポーパシング対策が急務。それが原因かどうかは知らないが、ハミルトンはセットアップをまとめられず予選Q1敗退、決勝も10位に入るのがやっと。ラッセルは予選、決勝5位でまとめているが、これで見えてくるのは、データや情報の流通がうまく行っていなさそうだ、ということ。セッティング情報がそれぞれで共有されていない。もちろん、最後の煮詰めは其々秘中の秘だとは思うが、基本セッティングですらずれている可能性がありそうだ。

フェラーリは好調をキープしたが、レッドブルは今回は一矢報いた形。ペレスがポールでフェルスタッペンが優勝。ペレスはセーフティカーのタイミングがピットイン直後というハードラックで勝利を逃した。それまでは万全だったと思う。フェルスタッペンは直線番長なマシンをうまく使ってルクレースを差した。

まだ新レギュレーション2戦目ということもあり、マシンの全貌は見えてこないが、ラップタイムが大きく落ちるという予想はすでに覆されつつある。次戦は久々オーストラリア。ここも公道的な場所なのだが、改修されてから2年越しでようやくお披露目と言う新コース。報道では「角田は初めて」なんて言ってたけど、何のことはない、全員が初めてというイコールコンディションだ。まぁ、すべてが改修されたわけではないのだろうけど、平均時速は上がる方向らしいよ。

今年もまた、F1GPが開幕した。

コロナによりテストに参加できなかったリカードが参戦できた一方で、ヴェッテルがコロナ陽性になり開幕戦は参戦できなかった。このタイミング、連戦となる次のサウジアラビアも厳しいかもしれない。代役で登場したのは、レーシングポイント時代からのお馴染み、ヒュルケンバーグだったが、既に1年以上F1から離れていたという事実を考えれば、結構まともに走っていたのではなかろうか。

結果を見て、やはり今年のフェラーリは速い。ルクレールはかなり余裕の走りで勝利をつかんだ。一方でサインツは結果2位だったけど、フェルスタッペンが止まる最終盤まで、勝てる要素が見当たらず、やや苦い初戦となった。

気になるのはレッドブル、アルファタウリ。この2チームは、ホンダが撤退した後、それをベースとしてHRCより供給されるエンジンを搭載する。彼らに言わせればホンダが去っても体制に大きな変化はないというが、開幕戦で彼ら4台中3台がエンジントラブルでリタイヤを喫したとなると、エンジン供給の信頼性に疑問を感じずにはいられない。完走したのは角田だけ、8位入賞がやっととなると。

次に気になるのはメルセデス。ハミルトンが3位入賞とはいえ、フェルスタッペン、ペレスの連続リタイヤの結果。ペース的にはフェラーリ、レッドブルに後れを取ることも多く、少なくともこの2連戦では苦戦を強いられることになりそう。

それとマクラーレン。流石にこのチームが14位、15位に沈むと予想した人はいなかったんじゃないかな。フロントブレーキ冷却に問題があったというが、テストで発覚してから、1週間では解決に至らなかった模様。次戦までに間に合えばいいが。

その一方で、ハースはマグヌッセンが5位と大健闘し、アルファロメオもボッタス6位、周が10位とダブル入賞を果たした。両チームとも、昨年度はアップデートを最小限にし、今年のレギュレーションに合わせこむことを目標としたチームで、それらが奏功したということは注目に値する。

また、全チーム間のタイム差が圧縮し、一度ピットに入ると順位がみるみる落ちていくのも今年の特徴。接近戦もできるようになり、そこはF1の狙い通り、そこここでバトルができるようになった。

総じて、入賞ならだれが入ってもおかしくないようなところまでは来ているように感じた半面、勝てる可能性があるのはまだ3チーム程度に限られるのかなと。ただし、勝つチームは限られても、負けるチームは決まってないと言った感じで、激しい戦いが繰り広げられそうだという雰囲気だ。

開発が進んでいった時にどうなるかについて、今年いっぱいで様子を見ていくことになるのだろう。

2022年のF1のテストは2回開催され、その2回目が3月9〜11日、バーレーンで行われた。これまで、テストを中継で見ることができるとか考えられなかったが、F1では、去年から最終テストは公開されるようになっており、DAZNでは全セッションがノンストップで放映された。

時代を感じる。僕がF1を追いかけるようになったのは、70年代後半、日本でF1が初めて開催されたF1インジャパンのころ。そのころは年に何度か数戦まとめてダイジェストで夜中に放映されていた。子供だったので、見れるかどうかは運と体力次第。87年から日本GPが鈴鹿で復活ということで、主に深夜の時間帯にフジテレビ地上波で予選と決勝だけ放映。それ以降はいろいろ変遷ありつつ、ネットで配信されている(英語)サイトを探して視聴の一昨年までは予選と決勝はなんとか追いかけられていたのかな。それがDAZN契約してからは時間が許せばフリー走行も見ることができるし、今度はテストも、だからね。値段は去年と比べて跳ね上がったけど、どこかに1戦見に行くことを考えればまぁいいんじゃないの?見に行けば臨場感は強烈だし、すべてが違うけど(色も音も)、現場では得られない情報も、放映にはある。

さて、今回テストを映像で見ることができたおかげで、今年のF1がどんな感じになりそうか、考えることができたので、エントリーを作ったわけで。

◯ポーパシングの影響
日本ではポーポイジングと呼ばれることが多いけど、英語読みだとおそらくポーパシング、人による部分もあるみたいだ。

これは、グラウンドエフェクトの車が速度を増した場合に、ダウンフォースが上がって抑えつけられることによりフロアが底付きして、空気の流れが悪くなるとダウンフォースを失ってマシンが浮き上がる。これが繰り返されるので結果マシンが縦揺れを起こすという現象。

まぁ指摘はされていたが、現状はどのチームにも、規模の大小はあれこの現象は起きている。サスの硬さや路面状況、車体最低地上高や、サスペンションの固有振動数などにも関係しそうで、搭載ガソリン量でその辺も当然変わってくる。

抑えた、問題じゃないと言っているチームでも何らかの拍子に現れることもあるため、解決は容易じゃ・・・いや、マシンと地上の隙間を保てばいいので、最低地上高を上げるか、サスをガチガチに固めてしまえばいいという二つの解決法があるけど、もちろん前者はパフォーマンスの低下、後者はドライバーの体調への懸念というネガがあるのでおいそれとは対応できない。だから容易じゃない。

技術的にはまずアクティブサス、電子制御で高さを調整するというのが手っ取り早い。90年代前半のウィリアムズ最強時代をもたらしたそのテクノロジーは93年を最後に禁止されたままである。あと考えられるのが、地上側とドライバー側のシャシーを切り離すツインシャシー、80年くらいにロータスが使用したがうまくいかず、開発が軌道に乗る前にレギュレーション違反となった。

◯空力レギュレーションによる接近戦
空力をグラウンドエフェクトに頼り、外部空力デバイスを制限して公報乱流を抑え、接近戦を実現させるという狙いについては、ある程度奏功しているように見える。実際縦に並んで前者を追従してコーナーに入っても、大きく姿勢を乱すような状況は現れていない。

但し、それが直ちにオーバーテイクに繋がるかというと、それを論じるのは時期尚早で、レーシングスピードに乗せて、マシン群が入り乱れた時にどうなるかは不明。

また、スリップストリームの効力範囲が短くなっているのかな、と疑われるケースも散見され、DRSをやめたいという思惑が実現するかどうかも今後の検討が必要となるだろう。

◯18インチのホイール
これまでのF1は13インチホイールだったが、今期から18インチに。見栄えの問題的な言われ方をしているが、本当はどうなんだろう?確かに市販車も大径ホイールに低扁平率タイヤという組み合わせがかなり主流になっている。レース界隈でもF1が最後の牙城だったかも。

で、大径ホイールっていうより、ロープロファイルタイヤだ。サイドウォールが低くなって、何が起きるか。これは市販車でもタイヤをロープロファイル化した人なら想像がつくかも。サイドウォールのしなりがなくなるので、タイヤに「ため」を作るのが難しくなる。それによる粘りが期待できなくなり、限界が低めになる。

まぁ、限界が低めの半面、クイックに応答する。市販車のロープロファイルタイヤがスポーティと称されるのは、こちらの特性がそうさせるのだ。

上記の特性が組み合わさっているので、シャープな動きを演出し、限界はわかりやすい。今のところ、盛大に滑っても大きな、はともかく深刻なフラットスポットができている様子は見られておらず、そのあたりも特徴なのだろうか。

◯各チームの様子
やはり、メルセデスがわかりにくいんだよねー。言えるのは、テストではポーパシングに苦労していたこと。だけど周回数は全チームで一番だし、タイムもハミルトンはともかくラッセルは悪くない。おそらくラッセルのタイムのほうが状況を正確に表しているんだろう。

レッドブルはまぁ去年並み。フェルスタッペンも最終日トップタイムで切り上げた。結果として、この2チームが結局核になるんだろう。それにテスト校長のフェラーリ、あたりの戦いになるのかな。

目立って悪そうなチームと言うのが存在しないのもこのテストのポイント。敢えて言えばトラブルで周回数を稼げなかったウィリアムズと、やはりトラブルが多めだったアルファロメオがどうなるのか。タイムは悪くないので、欠点を克服すれば、戦えるんじゃないか。

ロシア資金がシャットダウンされたハース。マグヌッセンの復帰は、一昨年まで在籍していたドライバーであったから、よく考えれば候補筆頭だったはずなのだが、なぜか予想されてなくて寝耳に水的なアナウンスだった。初日半日テストできなかったため、2,3日目に単独延長テストが認められ、その状態ではかなりのタイムをたたき出して見せた。気温、路面温度、コースの出来上がり具合などいろいろあるが、箸にも棒にもって感じじゃないのは確かだと思う。

こんな感じで、気が付けば開幕は今週末。開けてびっくりでもないけど、なんやかんやで結局メルセデス、なんていつもの展開になってほしくない気はするが、それでも驚かない準備はできた。あ、そういえばメルセデスのサイドポンツーンが極小になったのはともかく、それでサイドポンツーンになるべきところに現れた「ステー」と主張するウィングレットはいただけない。これがそのまま使用されれば、必ず物議をかもすだろう。

流石に、ロシアGPが開催されるとは僕も思っちゃいない。そして、ロシア企業であるウラルカリがハースのスポンサーから降ろされるのも致し方ないところではある。

しかし、ロシアの侵攻を理由にマゼピンが降ろされるのはちょっと違うかもしれない。昔々のF1発祥期はともかく、国対抗のイベントではないF1、あるいは自動車レースに、ロシア人であるという理由だけで除外されてしまうのはいささか乱暴な気がするのだ。既に発表されてしまったので、どうにもできないけど。

現時点で、FIAとしては中立な姿勢で、国旗の掲揚や国家の演奏はないものの、ロシア人ドライバーそのものを排除することにはなっていない。そしてロシアの自動車連盟も排除されてはいない。ところが、イギリスでは、イギリスGPにはロシア人、つまりはマゼピンを出走させないことになった。イギリス連邦の一つであるオーストラリアも追従の構え。もちろん、ウクライナの自動車連盟はロシア、ベラルーシの除外を求めている。

古今、戦争となれば、敵国は、そこに国籍を持つ人も含めて「敵」とみなされる。歴史的に、それはそういうものなのかもしれない。別にマゼピンのことを応援しているわけではない。むしろ昨年のお騒がせ状態を見ていると、そちらの方でF1に出走できているのはウラルカリのお金の力、と思っているところもある。でも、今回のことはマゼピン個人の資質が原因ではないのも事実である。だから、彼については、一方的にその将来を閉ざすのはいかがなものか、と思う。

パラリンピックに結局ロシア、ベラルーシの参加が認められなかったことも含め、結局スポーツは政治には勝てない、そういうことなんだろうな。

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