知的財産

JASRACの著作権料徴収について音楽教室から質問主意書

追い掛けると言ったら、このくらいはね。

質問主意書とは、国会議員が内閣に対し質問を行う場合の文書となっている。詳しくは素直にググるのが吉。
3月22日に、衆院議員、城井崇氏が質問主意書を提出している。これ自体は、先の3月5日の文化審議会の容認決定を受けて、文化庁が出した裁定に対するものだ。

内容は、丸写しで申し訳ないが以下の通り

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日本音楽著作権協会が音楽教室での講師や生徒の演奏について著作権使用料を徴収することを求めている件について、以下質問する。

一 音楽教室における講師の指導や生徒の練習における演奏に著作権は及ぶのか。政府の認識を明らかにされたい。
二 著作権法は第一条に「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」と定めているが、音楽教室から著作権使用料を徴収することは、文化の発展に寄与するのか。政府の認識を明らかにされたい。
三 著作権法は第二十二条に「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する」と定めているが、音楽教室における講師の指導や生徒の練習における演奏は、公衆に直接見せることを目的とする上演にあたるのか。政府の認識を明らかにされたい。
四 著作権法は第二十二条に「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する」と定めているが、音楽教室における講師の指導や生徒の練習における演奏は、公衆に直接聞かせることを目的とする演奏にあたるのか。政府の認識を明らかにされたい。
右質問する
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さて、この質問主意書は衆議院のホームページから見ることができる。エントリーが今日になったのは、答弁書を確認してからにしようと思ったわけだけど、出てきた答弁書は、これまた丸写しで申し訳ないが

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一から四までについて

御指摘の案件を前提としたお尋ねについては、私人間の係属中の訴訟に関連する事項であるため、政府
としてお答えすることは差し控えたい。

なお、一般論としては、ある著作物の演奏が著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二十二条にい
う「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的」とする「上演」又は「演奏」に当たるか否かについては、
具体的な事実関係に照らして個別的に判断されるべきものであると考える。
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と、いうわけで。予想通りすぎる「無回答」。質問は「政府の認識」であるが、回答が「差し控えたい」という割には政府の一機関である文化庁は「容認」なわけで、ここを「不一致」と取るか「黙認」と取るか。まぁ後者だな。

とりあえずは、このやりとり自体は裁判には影響は与えないけど、やはり文化庁の判断が重いよなぁ。あまり明るい未来が見えないのだった。

文化審議会がJASRACの音楽教室への著作権使用料徴収容認

これは・・・。

いやいや、そんなことを答申されちゃったら、文化庁の裁定で事実上道筋ができてしまうではないか。答申では判決確定までは「徴収を拒む教室への督促は控えるよう求める」って、徴収を拒まなければ判決を待たずに始まるってことじゃないか。これ、完全に外堀を埋める行為だよね。この答申を出すこと自体を判決が確定するまで控えてほしかったというのが正直な話じゃないか?

9月の裁判の様子を見れば、JASRACが「これは勝った」と見るのも無理はないかとも思うけど、昨年10月に今年の1月から徴収を始めるとか通達もしていて、このあたり既成事実づくりに余念がない。これで道筋ができてしまえば、裁判もその様子を見ると考えられるので、ひっくり返しにくいのではと予想される。まぁ、あの原告主張ではな〜。この件、多分最高裁まで行くと思っていたのだが、ひょっとするともっと早い終息があるかもしれん・・・。

任天堂VSコロプラの特許侵害裁判

「コロプラが任天堂の保有する特許に抵触した」とのことで提訴されていたのだが、その第1回口頭弁論が2月16日に行われていた。そこで計5件の特許番号が明らかになって、中身を見た人から「コロプラ勝ち目ないんじゃないか」なんて話が飛び出しているのだけど、そうとも限った話じゃないんじゃないかなというのが僕の第一印象。

一応5件の特許の内容をざっくり言うと、という部分を書いておく。

1. 特許3734820号
タッチパネルを最初にタッチした点を始点としてジョイスティックのように使用する。最初に任天堂からアナウンスがあった、言わば「本命」。
2. 特許4262217号
タッチパネルを長押しした後、指を離すと敵キャラを攻撃する。
3. 特許4010533号
ゲーム機がスリープから復帰するときに復帰確認画面を表示して、確認後スリープ直前の状態からゲームを続行できる。
4. 特許5595991号
ゲーム機間で互いのゲーム機情報を認知(フォロー)、ネットワーク通信を許可する(同時プレイなど)。
5. 特許3637031号
障害物で隠されているプライヤーキャラクターを通常とは違う方法で表示する

ま、一言でまとめてみると、それぞれはどこのゲームでも使いそうな感じがするので、「これは任天堂が基本特許を取っている」と思われてしまうのだろうが、それぞれ請求項(権利範囲を決める項目)は一つではなく、細かいところまで10以上の請求項が記載されているのが複数ある。この「ざっくり」もそういう風に書いてあったわけではなく、そう解釈できるという書きっぷりにしてある。実際は「こうしてこうなってこのような場合に、こんな操作をするプログラム」みたいな文章なので、それぞれがすべて合致しなければ、実は「当たらない」という判断になる可能性もある文章だ。どう見てもこれは当たり、と一発でわかるような請求項にはなっていない。

そしてこれは重要なんだけど、任天堂が抵触を主張する5件の特許は、登録公報すべてに公開時から補正(つまり権利範囲の変更)が入っていること。これは、登録公報を見ればアンダーラインが入ってるのですぐにわかることである。つまり、これらの特許の権利範囲はこの公報だけでも読み解くのは面倒なんだけど、その上でさらに審査記録(包袋と呼ぶ)を紐解かないと、微妙な部分が解き明かされないということ。補正が入っているということは、それよりも先に文献(多くは公開特許)が存在していて、その範囲からは外れるように権利範囲が調整されているということ。だから、公報だけを見て「コロプラオワタ」という判断は突っ走りすぎているということだ。実はこの包袋もJ-platpatで無料で閲覧可能。特許云々を判断しようとしたら、このあたりまでは見てから考えてほしいものだ。

もちろんそれでは「速報」には適わないし、公報のみをさっきの解釈で「ざっと」見たところでは「当たりだろう」という判断は当たらずとも遠からじではある。ただ、これが「基本特許なのか」という話で考えれば、以上の公報の内容や、審査の流れから見て、僕の経験的に「基本特許とは言えない」のではないかとの疑念を持つには充分だ。まぁ、基本特許でなくても「強い特許」であれば何の問題もないということで、この特許は「強い」のか?そこだけが興味の対象だ。

そんなわけで、まずは「相手の言い分を聞いてからこちらの主張を組み立てる(もちろん時間はあるので準備はしておくけど、相手から想定通りの主張が放たれるとは限らない。裁判になって初めて封印が解かれる隠し玉とかもあったりするのだ。)」のが民事裁判の基本なので、コロプラのターンはこれからである。ここでどのような説明をし、抵触していないことを証明する、もしくは無効資料がある、はたまた先使用があって効力が及ばないとかの話は全部これから出てくるのだ。

特許の解釈は、往々にして訴える方は権利範囲を広く、反論する方は狭く捉えて論理を展開する。双方話をさせてみて、それからの判断だ。ここで性急に答えを求めるより、コロプラの反論を見てから言い分を整理したほうがいいかと思う。コロプラだって確信するものがあるからこそ裁判になると言われても引かなかったわけでしょ。意外と「まさかこんな抜け穴が」なんてことになるかもしれないよ?

え、僕の判断?一件の特許でって話ならトピックスとしてやってもいいけど、それが五件、しかもそれぞれ違う技術範囲での話であって、それぞれ請求項も多く補正も入って包袋全部紐解かなければ話ができない案件なんか、仕事じゃなきゃやれないと思う。

JASRAC、映画音楽の使用料を引き上げへ

JASRAC、収益が下がってるのか。これまで映画音楽の使用料は一律18万円だったのを、興行収入の1〜2%にする方針だとか。リバイバル上映とかからも徴収する方針のようで、これは使用料的に一気に跳ね上がる計算にはなる。

法的解釈としては、いま係争中の音楽教室の著作権使用料とは基本的な性格が違い、映画を上映する際に同時に再生される映画音楽に著作権が発生することについては、誰もが認めるところ、ではある。少なくとも、映画館にどれだけ客が入ろうが、逆に閑古鳥が鳴こうが、1本18万円定額でよろしくっていうのは納得しにくいかな。映画館業界としてみれば、普通に負担増確定なので、反対するのは明らかなんだけど、今回について言えば、JASRACの方針が大枠で間違っているとは、流石に言えない。

解決策として、ある意味歩合制になるのは仕方ないところだが、映画に対する音楽がどれくらい貢献しているかという部分で、議論を充分すべきだと思う。ま、有名どころの映画なんて、テーマタイトルの一フレーズだけでも「あ、あの映画の」なんてことになるのはよくある話、というかテーマ曲の個別のタイトルよりも「あの映画のタイトルナンバー」という方が通りがいいこともあるわけで、つまりはそれだけ重要ってことでもある。

もちろん、それを払えば零細の映画館が厳しいという論調もあるだろうし、それを全部観客に押し付けて入場料値上げなんてのも難しい話ではあるだろう。落とし所をちゃんと議論することが必要だろう。ここからが議論なんだと、僕は思うのだが、どうもその落とし所の設定に、JASRACの居丈高な部分を感じるというか、すんなり納得できない言い方をしてくるというか、もっと言葉は選んだらいいのに、そんなふうに感じるのだった。

音楽教室著作権料裁判始まる

JASRACが、音楽教室などで楽曲を使用する場合に、著作権料を徴収するとした方針を受けて、ヤマハ音楽振興会など約250の企業・団体がJASRACに長州権限がないことの確認を求めて、始まった裁判の第1回公判が9月6日に東京地裁で開かれている。

今回の双方の意見陳述の内容について。
原告側「日本の音楽文化を担ってきた音楽教室に大きなダメージを与え、音楽を学ぶ機会を減少させる」あれあれこれは・・・。

被告側「原告側の受講料収入は721億円。一円たりとも創作者に還元しないというのは極めておかしな話で、音楽教室が収入の一部を還元して創造のサイクルに参加すべき」と。お金から入るところがらしいというか、底が浅いというか。

んーと、2月の最初の段階で明言したけど、「著作権法第22条」をよりどころとする「音楽論(文化論込で)」の真っ向勝負では原告の勝ちはないんだよね。で、この展開、完全にJASRACのペースに乗せられてるように思われる。5月に「真っ向勝負」と書いて、そのときにふと思った厭な展開になっているような気がした。

この裁判、2月に第一報で書いたとおり、ちょっとでも勝ち目を探すと「著作権第35条、第38条」を根拠に反論する、つまりまとめれば、「音楽教室は、そもそも演奏される音楽自体で儲けているのではなく、それを演奏すべき道具たる楽器の演奏技術や、曲の編曲手法などの教示・伝承に対してのみ報酬を受けているのであって、そこで演奏される音楽はその一環のための道具・素材に過ぎないものであるから、著作権法適用範囲には該当しない」と主張する以外の道はない。実はこの展開の論陣も張られていて、マスコミが報道する時点で、わかりやすい部分での解説になった結果と、文字数の関係でこうなってるだけならいいんだが、どこの報道を見比べてもそうは読めないんだよなー。っていうか、訴状ではそういう趣旨になっていたはずで、そこから今回の意見も展開したのではないのか?

最後に、個人的に最も衝撃を受けた「毎日小学生新聞」の記事の双方の主張部分を紹介しよう。

JASRAC「曲を作った人に一円もお金が入らないのはおかしい」
音楽教室側「お金を払うと運営しにくくなる」

・・・(爆)

小学生向けなニュースでは、わかりやすくするのが基本だろうけど、その結果が流石にこんなまとめ方では、JASRACの主張にゴネてるだけという印象しか持たれないではないか。そしてそれは、たぶんまとめた記者の端的な印象でもあるはずで、そういうまとめしかできなかった記者がダメダメなのか、本当にそういう内容だったのか。まぁ他の記事を見ればどうだったのかはわかるけどね。

この論議とは別に、「ポップスやってる人は音楽教室上がりの人はほとんどいないから、音楽教室なくなっても、音楽文化の衰退には直結しないよ」と言ってる人もいて、その発言も一理あるとは思うけど、そもそも音楽を志す人が全員ポップスを目的にしてるわけでもない事を考えると、この意見は一面的すぎで、やはり音楽教室の衰退は全般的には良くないと思うよ。

カゴメ提訴により、伊藤園の特許が無効に(知財高裁)

・・・というニュースを受けて、2013年に登録されたという伊藤園の特許を検索してみたのだけど、これが8件ほどあって、どれなんだろうって感じ。登録の時期も1月〜9月とばらつきがあって、よくわからなかった。全件について一括で裁判になってる可能性もあるので、どれ、という特定はしなくてもいいかもしれない。

中身を見ると、請求の範囲は、飲料の中身の成分の数値範囲限定特許になっているものが多く、他には含有物質の直径の数値限定なども見られる。製法は複雑で、ここで書き出したらそれこそ明細書丸写しになってしまうので割愛するが、ここでの争点は、たぶん「効果」の点。

「○○な味わい」というのが多分に主観的で、その定義が定かではないので、記載不備、もしくは特許未完成という判断だと思われる。その味について、明細書を読む限りにおいては、被験者を多数使って、味覚チェックをかなりやっていることがうかがわれるのだけど、だからってそれで「濃厚」とか「さらっと」とか言われても、「それってどういうこと?」になるでしょう。

請求の範囲はあくまで成分のいろいろなパラメータの数値限定だから、その点では「明確」である、と言える。このあたりが難しいのだ。あくまで請求の範囲を中心にみれば、別に不備は感じられない。でもそれで、ほんとうに「この特許が目指した味わい」が再現できるのかっていうと、人によって感じ方が異なるわけだから、と。これは正直、僕が偉そうに解説できることじゃないか。どっちに転んでもおかしくはないような気がする。

ヤマハがJASRACを提訴へ

1月に、JASRACが音楽教室から著作権を徴収するとの話があった。2月にこの件でエントリーを入れた時に、僕はこの方針には反対だということを表明した上で、裁判沙汰にはなるだろうと予想した。

結果として、最大手のヤマハがこういう表明をすることになったわけだけど。JASRACの方針は変わらず、「人気曲を使い、魅力を生徒たちが味わっている以上、聞かせることが目的」って、そういう主張か。

いやいや、それは・・・。そもそも音楽の道に進むのは音楽教室で体験入学した時に聴いた曲がきっかけではなく、他の場所で音楽が好きになり、その曲を演奏したいという衝動が音楽教室へ生徒を通わせるのではないのか。本末転倒の論理であるといえよう。何度でも書くが、音楽の技術が伝承されない限り、いい音楽を生み出す術や機会は減少する。そうなれば、全体のパイが小さくなり、結果はJASRACにとっても小さくない影響になるだろうことを見越してこんな方針を立てているのか。何をやりたいのだ。

どちらにしろ、これは主張が真っ向からぶつかる以上、和解なんて結論にはならないだろう。結構長期化すると思うので、じっくり追いかけていきたいと考えている。どちらにしても僕の考えはこの件ではブレないと思う。

音楽教室から著作権料徴収とか

さすがJASRAC、相変わらずやり方がえげつない(^^ゞ

「ヤマハや河合楽器製作所などが手がける音楽教室での演奏について、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、著作権料を徴収する方針を固めた。」

根拠は著作権法第22条。「著作者はその著作物を公衆に直接見せまたは聞かせることを目的として上演し、または演奏する権利を有する」という条文だ。

これだけ見ると疑問となるのは、1)「公衆に」2)「聞かせることを目的として」の2点かな?
1)は生徒を「公衆」とみなすかどうか。これについては、「生徒」を「客」と読み替えれば、「公衆」とみなすことは可能、という判断になりそう。
2)「聞かせることを目的として」はどうか。練習するには「聞かせないと」ダメだろって論法に必ずなる。つまりここもクリアできているという判断でのことだと理解できる。

うわ、これだけみれば、オレはJASRACの回し者かってくらい「著作権料取られても仕方なかろう」に傾く。えげつないけど法的にはNoと言いにくい。でも、このままでは、音楽教室が著作権料を支払う→授業の料金値上げ→教室に通う人が減る→音楽文化の衰退、まで行きかねない由々しき事態と言える。もう少し頑張ってみるか。

では、音楽教室側に有利な条文はないのか。
第38条「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」

何を言ってるかわからねーと思うが、オレも・・・じゃなくてぇ(^^ゞ、営利目的でなく、演奏してる人が無報酬で引き受けていれば、演奏できる、という規定だ。

「え?音楽教室は営利目的だし、演奏する先生も報酬もらってるじゃん」って思うだろう。しかし、ちょっとまって欲しい。ここで音楽教室の目的ってなんだろう?「楽器の奏法や歌唱の仕方を教えること」だ。そのため、そこにおける「音楽の演奏」はそれが目的ではなく、あくまで先の目的のための「手段」だ。音楽の演奏が商品なわけではなく、「技法の伝承」が商品なわけで、「演奏」そのものに報酬が求められているわけではない。ここに突破口があるかも知れない。

まだある。第35条「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」

音楽教室が「教育機関」と言えても「営利を目的」としないとは言いにくいのでちょっと弱いのだが、それを言い出すと、私立の音楽学校はどうなんだということになるので、このあたり、柔軟な思考が必要となるだろう。

JASRAC、「そのうちウェブサイトなどで広く生徒を募集している教室約9千カ所を徴収対象とし、個人運営の教室は当面除外する方針」とか言ってるので、このやり方も彼らの常套手段なんだけど、手っ取り早くお金を巻き上げられるところからまず取るか、みたいな感じで、そこもいい印象持たれないんだよね。印象で物を言いたくはないが。

どちらにしろ、これは裁判沙汰になるだろう。追いかけて見る価値はあるかな。

サントリーとアサヒが和解

ノンアルコールビールで裁判を起こしていたサントリーとアサヒ。この度、知財高裁で和解が成立し、双方とも提訴を引き下げた。

サントリーの特許は無効にならず、そしてアサヒの商品はサントリーの特許に抵触してないという結論に落ちた感じだけど、文言上はおそらく違うような気がする。ただ、それよりも双方イメージが悪くなって販売を落とすのを避けた、大人の対応になったのかも。

サントリーにとっては、無効にはならなかったと言っても、これどっちかというと・・・いや論じる立場にはないか。

「ハイスコアガール」連載再開へ

昨年の8月24日に成立した和解を受け、和解の時にも明言されていたけど、「ハイスコアガール」の再連載が決定したとのことで。7月25日発売の「月刊ビッグガンガン」から、ってことだね。

2013年の「アニメ化情報」から発覚した著作権騒動だけど、SNKプレイモアがLedo millenniumとの資本提携がなかったら、まだ引っ張っていた可能性もあったし、そこは急転直下的な和解だったこともあり、比較的早い段階での連載再開になったと言えるだろう。単行本も、再刊の予定。ただし、多少の修正は加えられる見込み。

まぁ、僕的には著作権の紛争がなかったら、見ることはなかったかも知れないので、そういう意味ではその手の読者層が広がった可能性もあり、なんだろう「転んでもただで起きない?」みたいな感想が出てくる。和解成立の時も書いたような気もするけど、会社の上層部が変わるとこうも変わるというわけで、ただ運が良かっただけという見方もできる。

なんにせよ、これで一応は元通りということだし、頓挫したアニメ化の話はどうなるんだろうかね?流石にもう少し様子を見るんじゃないかとは思うんだけど・・・。

ノンアルコールビール訴訟、サントリーの請求棄却

このニュースは、今年の3月に、サントリーHDが、ノンアルコールビールの製品特許に、アサヒビールの製品が抵触しているとして裁判を起こしたわけだけど、東京地裁にて「請求棄却」の判決が出た。

この裁判に臨んだアサヒ側の戦略としては、おそらく裁判前にサントリーとの交渉でも主張しただろう「特許出願前に特許に含まれる数値範囲で、複数の製品が存在した」という「公然実施」を基本としたものだそうだけど、今回それが認められた形で、「サントリーの特許は既存製品から容易に発明できるもので、新規性がない」との主旨。すなわち「特許無効」でサントリー全面敗訴という結果だ。

確か、この特許のメインクレームはたった3行と書いた。だが、実はそれについては、親出願があり、そっちはわずか2行ともっと短い。「エキス分の総量が2.0重量%以下であるビールテイスト飲料であって、pHが3.0以上4.5以下である、前記飲料。」とあり、3月に見たやつの糖質の含有量が省かれている。で、こちらも特許登録されている。ほんとに、「これが通るの?」と言いたくなる気持ちもわかる。でも、ここに来て「それチャラな」って言われても、「それはねぇべよ」と応えるしかないのでは。

というわけで、サントリーとしては控訴に行くしかないだろう。知財高等裁判所で決着を図ることになる。そこで改めて「本特許が無効か否か」は論じられることになる。アサヒ側が提出した資料を見てみたい、とは思う。最終結論はまた半年くらい先になることだろう。

JASRACの独占状態が終焉

JASRAC(日本音楽著作権協会)と言えば、日本国内の音楽著作権を一手に引き受けていた、音楽に関心があれば、その名前を聞かない人もいないだろうともわれる巨大な組織(社団法人)。

一手に引き受けて来きた、つまり「独占」ということで、そのやり方は、これまでもいろいろと物議をかもしてきた歴史もあるわけなんだけど、それでもまぁ、この国に音楽の著作権の意識を根付かせ、運用してきたという事実はしっかり受け止めるべきではある。

しかし、この度、エイベックスHDが、JASRACに委託してきた約10万曲の著作権管理を、自社の系列であるイーライセンスに移管するという。膨大な数だ。

この決断は画期的だ。音楽業界に新たな一歩を刻むことになる。それによる影響は、著作権料の決定が自由化されることによる音楽の提供の低価格化、というのがまず考えられる。半面、この曲はどこで扱っているかがわからなくなることによる、契約や手続きの複雑化などは考えられる。歌詞の転載などにも著作権があって、ネットで気軽にやってると、運営の方に取り立てが来たものだけど、そのルールも変わっていく可能性もあるので、音楽方面のライター、ブロガーなど、その辺を生業にしてる方々にも影響は大きそうだ。

とりあえずは、JASRACの独占状態が破れるということだけでも、影響は大きいので、様子を見てみる必要はある。特に、最近活性化している音楽配信サービスの品揃えやその価格には、直ちに影響しそうなので、時代は大きく動くかもしれない。どのようになっていくのか、予想はしにくいけど、とにかく変わるということだけは間違いなさそうだ。

特許法改正説明会へ

平成27年改正特許法ってやつ。7月10日に公布されたので、来年7月9日までには施行される。このタイミングだと、多分来年度?4月からではないかと思う。

去年も商標を中心に改正されたんだけど、今年は「職務発明」に掛かるので、ちょっと重いのよね。会社の発明規定があるとしたらそれの改定、なければ、多分制定したほうがいいような改正なので。

職務発明、というか、これまでの特許法では、発明に関わる特許権は、全て発明者に帰属するものとされてきた。職務発明の場合、その権利を使用者、つまり会社が「承継」つまり譲り受けることによって、会社の権利にするというのがこれまでだった。そのシステムがちゃんとしていなければ、職務発明と言えども発明者に権利があるわけだから、その関係で、裁判がいくつも繰り広げられてきた、という側面があるわけ。

それが、今回の改正法で、「発明規定など」にて宣言があれば、発明が完成した時点で、権利は会社に帰属することになった。ややこしいのは、宣言がなければこれまでどおり、発明者に権利が発生するのだ。これって、つまり社内規定の変更にかかるので、組合があればそちらとの折衝とかもあるし、内容もさながら、手続きも結構大変になるのだ。

それはともかく、それ(発明規定の改正)が仕事として現実に目の前にある。どうしましょう、なんですけど(^_^;)。

ハイスコアガール「和解」。

行くところまで行かずに済んだ、ということか。

スクウェア・エニックスの漫画に、SNKプレイモアが管理するゲームのキャラクターが無断使用されていたとして、SNKプレイモア側が刑事告訴、スクウェア・エニックス側が民事で反訴していた件については、両社と、SNKプレイモアの大株主であるLedo millenniumの間で8月24日に和解が成立、とのこと。

やぶから棒というか、この急転直下な和解のからくりがよくわからないと思ったのだけど、和解のキーポイントは、Ledo millenniumにある。この会社は中国のオンラインゲーム企業の関連会社となっている。この会社が、SNKプレイモアを8月6日付で買収したことによって方針が転換されたという。

スクウェア・エニックスのニュースリリースによれば、第1項を丸々引用するけど

「SNKプレイモアは、本件出版物が同社の著作権を侵害しているとして、2014年5月26日付で、当社及びその役員・社員を大阪府警察に刑事告訴しました。これを受けて、当社は、2014 年10月8日付で、本件出版物がSNKプレイモアの著作権を侵害していないことの確認を求める債務不存在確認訴訟を大阪地方裁判所に提起し、さらに、これに対する反訴として、SNKプレイモアは、2015年3月16日付で、本件出版物の出版差し止めを求める著作権侵害行為差止請求訴訟を大阪地方裁判所に提起しました。
このたび、両社及びSNKプレイモアの大株主であるLedo Millennium Co., Ltd.(以下「Ledo」)の間で、今後、各社のコンテンツを利用した新たな協業機会の創出を可能にするため、本件紛争を早期に解決すべきとの合意に至り、2015年8月24日付で両社間の和解が成立しました。なお、この和解に基づき、SNKプレイモアは、2015年8月24日付で上記刑事告訴についての告訴取消書を大阪地方検察庁に提出し、同庁に受理されました。
両社及びLedoは、新たな協業機会の創出を通じて、これからもファンの皆様のご期待に沿うコンテンツの開発・提供に邁進してまいります。」

一方のSNKプレイモア側のリリースはというと、こちらも誤解を防ぐためにまるまる引用

「当社は、本件出版物が当社の著作権を侵害しているとして、2014年5月26日付で、スクウェア・エニックス及びその役員・社員を大阪府警察に刑事告訴しました。これを受けて、スクウェア・エニックスは、2014年10月8日付で、本件出版物が当社の著作権を侵害していないことの確認を求める債務不存在確認訴訟を大阪地方裁判所に提起し、さらに、これに対する反訴として、当社は、2015年3月16日付で、本件出版物の出版差し止めを求める著作権侵害行為差止請求訴訟を大阪地方裁判所に提起しました。
このたび、両社及び当社の大株主であるLedo Millennium Co., Ltd.(以下「Ledo」)の間で、今後、各社のコンテンツを利用した新たな協業機会の創出を可能にするため、本件紛争を早期に解決すべきとの合意に至り、2015年8月24日付で両社間の和解が成立しました。なお、この和解に基づき、当社は、2015年8月24日付で、上記刑事告訴についての告訴取消書を大阪地方検察庁に提出し、同庁に受理されました。
両社及びLedo は、新たな協業機会の創出を通じて、これからもファンの皆様のご期待に沿うコンテンツの開発・提供に邁進してまいります。」

となっている。彼我の表現が異なるだけで文言が一緒なのは、もちろん両社ですり合わせがあるからだけど、これを見る限りにおいては、結局は訴訟と反訴でバチバチだったということと、どちらも矛先を収めるのみで、和解金その他は発生していないようだということ。

「各社のコンテンツを利用した新たな協業機会の創出を可能にする」の下りを見ると、Ledoの方針は、これまでのSNKプレイモアの方針を180度転換させたような形で、むしろこのようなコラボに積極的に取り組む姿勢になるようにも見える。

当然の帰結として、当該作品こと「ハイスコアガール」の回収状態は終了し、連載も再開になるとのこと。

よく考えれば、この一年ほど、この件を追いかけてきたこのブログも、逆にいい感じに宣伝を受け持ったような状態に。何なんだ一体(^^ゞ。だからって、これを読んで「じゃあ買おうか」なんて人は数人程度には収まると予想されるので、大袈裟に言うほどのことでもない。僕自身、購入する予定はない(言い切り)。

何と言いますか、トップの考え方の違いで、これほどドラスティックに状況が変わるっていうのも珍しいケースのように思えるけど、何はともあれ、決着がついた、しかも「ハイスコアガール」のファンにとっては最高の形で、というのは祝福すべきなのだろうね。

なんとなくわだかまりも感じるし、今ひとつ素直に祝えないのも正直なところ。いつもこう行くならいいんだけどね、と。やはり著作権対策を出来る限り万全に打っておけば、そもそもこんな訴訟は生まれなかったということは強調しておきたい。

DVD Shrinkで著作権法違反による初の検挙(21日にニュース)

いろいろな案件が立て込んでいて、ここまで遅れてしまった(^^ゞ。

表題のソフトは、いろいろな理由でDVDをコピりたいな、と思って検索すれば大概出てくる、有名なDVDリッピングソフトのひとつ。もちろん、DVDのコピーガード外しは著作権法違反だ。これまでは不正競争法違反でとってたものが、今回12年改正法による著作権法違反で摘発、とのこと。

僕自身は、12年の法改正を受けて、この手のソフトとは基本的にはサヨナラした。知財担当やってる身でそういうの使ってますってのはないよね。それまでは、「映像ソフトの個人的なバックアップ」という言い逃れもあって、それを使用しても直ちに法違反、とまでは言い切れなかったので、それを持ってくぐり抜けていた部分もあったわけだけど、その大義名分も12年法で塞がれた。自分で撮影した「子供の運動会のDVD」とかぁ・・・いや、ふつうそれコピーガードなんか掛けないだろ(^^ゞ。MPEG2デコーダとは違う技術なのだから。

そのサイトへリンクを張っていた業者も検挙されたというので、今後は結構本気でやるかもしれない。個人への追求があるかどうかはわからない、というか、そんなところまでは手が届かないだろうとは思う。でも、推測でものを言っちゃいけないので、やはりここは、そういうソフトを使用するときは、っていうか、違法性が高いので、使用はしないほうが、と言うしかないよなぁ。

富士フイルムがDHCの化粧品を特許侵害と提訴

こういうニュースって、往々にして情報があまり多くないんだけど、今回もその例に漏れずッて感じかな。

出てきている情報は各紙総合してみると、
1:富士フイルムがDHCの一部化粧品が富士フイルムの特許を侵害しているとして提訴した
2:その化粧品は「DHC アスタキサンチン」シリーズのジェルとローションの2種であること
3:当該特許は2012年に取得
4:2014年9月に製造販売の差し止めを東京地裁に対して行っていたが、審議が長引く見込みとなり、今回、提訴に切り換えた

ということになる。

ちなみに、DHCは「係争中でコメントできない」ということだけど、これまた不明瞭な。特許裁判での被告の論点は、基本的には「非抵触」もしくは「特許無効」しかないので、そう言えばいいのだけどな・・・。

以上の情報だけで、その「特許」とはというのを特定することになるんだけど、今年からIPDLが衣替えした「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」で追跡してみることにする。

普通に簡易検索でキーワードと出願人で見てみると53件。ありゃ、流石にそれだけで絞れるほど甘くなかったか(^^ゞ。登録日2012年ということなので、それで絞ると8件。あとはタイトルから、4件と特定。一番怪しいのは「化粧品」で特定している特許5046756号だろうと推測。文言もかなり明瞭なので、「長引く」要因がちょっとわからないけど、成分名称と含有率あたりが争点になるのかな。

なんて言いながら出願情報を見てみると。何の事はない、DHCが無効審判出してるじゃないか。「一部無効」の文字も見えるけど、なんせ最新はこの7月、ちょっと詳細は不明。また「一部」ってのが微妙な(^^ゞ。そりゃー長引くし、ノーコメントの意味も理解。書く方も詳細に書こうとするとドツボにはまる可能性が。こういう記事になるのも仕方ないかー。

ハイスコアガール「大野晶」の「ねんどいろ」化・・・

まぁ、それ自体は、僕にとって最高にどうでもいい話題だけど(^^ゞ、ほら、著作権裁判沙汰になって、その状況でフィギュア化ってどうなのよ、って疑問もあるだろうから、そこには答えておこうかな。僕の中では野次馬的にそういう扱いでしかないので、申し訳ないね。

ちなみに裁判の進展は、表立っては見られない。去年の12月に第1回の公判が開かれて、SNK側からの著作権侵害ポイントが爆増した割に証拠提出がなかったため、次が2月(非公開)ということになって以来、動きは非公開のまま進んでいるのだろうと推定するしかない。そろそろ公開の場で何かあってもおかしくはないタイミングでもあるけど、見てるしかないよね。

で、フィギュア化の話に戻せば、別にハイスコアガールのキャラ自体は、造形含めて押切氏の著作に当たる部分だし、他社のゲームには何ら関係のない部分なので、ノープロブレムとは言えるだろう。心象的にこれがSNKを刺激する可能性は無きにしもあらず、とは言えるけど。

ちょっと深読みしてみると、あのまま事態が膠着状態だったら、とてもこんな決定はできない様に思う。なんせ本自体は発売中止&回収状態なのだ、公式には。そのままフェードアウトであれば、わざわざこのタイミングでこんな展開にはならないのでは、と見る。それがこのタイミングでGOが出たということだと、そこには何らかの着地点が見えてのことだと思われるけどね。僕の想像通りであれば、刑事裁判の方も不起訴、もしくは起訴猶予で終息の方向か?

そうなればそうなったで、そのうちニュース化されるだろう。そうなったら、またなにか話ができるかもしれない。読み違えていたらごめんなさい、その場合のこれは、ただの「アピール」「デモンストレーション」ということになるんだろう。

「強力枕干し」って

特許だったんだ!しかも権利期間中(あと7年位?)だ。権利範囲も結構広い。たまにこういうシンプルなものが権利化されていたりするから、特許って奥が深い、改めてそう感じるよ。全く関係のない技術の調査中に突然それが現れたんで、逆にびっくりしてしまった(^^ゞ。

普通に百均で売ってるよね、あれって。でも特許なのだ。

特許法改正案が閣議決定

大きなものは職務発明と特許料改定、後はシンガポール条約に関係すること。

特許料改定は改定したらいいし、シンガポール条約は、基本的に各国で異なる出願手続きの取り決めの話なので、これもやったらいい。

やればいいで済まないのは、職務発明の話だ。これは去年からそういう方面では話題になっていて、中村教授がノーベル賞を受賞した際に、この人は職務発明で日亜化学と対立した人だというのが改めて話題になり、そこでもこの改正について意見を残していったという経緯もあり、注目されていた。

今週の頭くらいから、いよいよ法案が閣議決定されるという情報もあり、仕事もそうだけど、個人的にも追いかけてきていた。その決定が13日の閣議だったというわけで。

概要は、ざっくり言えば、特許権を受ける権利について、会社と従業員が取り決めを交わした場合には、特許権は会社に帰属する、ということと、その特許が権利化された場合には、「相当の利益」(これまでの「対価」に変わる概念だ)を受ける権利がある、という二点。

まぁ、仕事で行われた発明は、会社のもんだという取り決め(規定)をすれば、特許は会社のもんだけど、発明者には相当の利益という形で還元しなさいよということ。これによって、例えば中村裁判で言えば「特許権の帰属が中村教授にある」という訴えは、会社の規定に「会社に帰属」と明記してしまえば、起こらなくなる。

「相当の利益」に関して経産省からガイドラインが示されるという。その妥当性はともかく、これで発明者はみんな、基本的には発明の報酬を受け取ることができるようになるわけだ。会社が規定を作らなかったら・・・何も変わらないので、やはり裁判は起きるだろう。その数は減るんじゃないか?

心理的には・・・・せっかくの自分の発明が、会社に持って行かれてしまうってことによって、原始的な権利を持たなくなるので、それが例えば同業他社に移動するときなんかには影響するかもしれない。いろいろ議論は出ると思うよ。個人的には、僕が研究者だったとすれば、嬉しくはないかな。知財部の立場で言えば、整理はしやすくなった。それに合わせて規定を改定する、あるいは新たに作るって話だから、それは重い話になるんだけど。

ノンアルコールビールで、サントリーホールディングスがアサヒビールを提訴

タイトル長い(^^ゞ。

まず、ノンアルコールビールについては、「諸般の事情で飲んじゃいけないときに、ど〜ぉうしても、最低限、形だけでも付き合わなきゃいけない時の最後の砦」みたいなイメージが、僕にはある。なにもないのに、自ら「これがいい」って突撃したりはしない(^^ゞ。よって僕がそれを飲んだことは・・・未だ片手で数えきれるくらい。いちいち覚えてない。

そんなわけで、去年のシェアがサントリービールが一位で、アサヒビールが二位だとか、その数が去年の出荷でそれぞれ720万ケースだったり620万ケースだったりという数値データも初見。じゃあ、ビールの売上がどれくらいかっていうと直近データはないけど、スーパードライだと2011年で1億ケース超らしいので、それに比べれば、まぁこんなもんかと思うか、そんなに売れているのかと思うかはあなた次第(^^ゞ。

ニッチと言えばこれほどニッチな商品もないような気が、僕にはするんだけど、ニッチであるがゆえ、シェアは圧倒しないと、トップシェアでも苦戦するとも言える。

そんなわけで、サントリーが一昨年取得した特許を根拠に、アサヒの「ドライゼロ」を提訴。

当該特許は・・・と。請求項1のクレームはわずか3行。「エキス分の総量が0.5重量%以上2.0重量%以下であるビールテイスト飲料であって、pHが3.0以上4.5以下であり、糖質の含量が0.5g/100ml以下である、前記飲料。」というわけで、pHと糖質含有量の数値限定。ビールテイスト飲料のエキス分総量も前段で限定してあるけど、これはまぁ常識的な範囲だと思われるし、炭酸飲料ならpHもこんなもんだと思われるので、ぶっちゃけ糖質含有量以外に意味は無いと言えよう。確かに初見だと、これが通ってしまうとは考えにくい部分もある。でも、現状は通ってるわけで、通っている以上は「権利」が発生する。

一方のアサヒ側は・・・、「サントリーの特許は無効だと考えている」ってことで、抵触は問題にしてない雰囲気、ってか「ゼロ」を商品名で謳ってる時点で、「非抵触」の主張も事実もまぁありえんな(^^ゞ。11日の口頭弁論でも、その「既存の製品から容易に達成できた」一点張り。当然無効審判もぶちかましていることだと思う。

この特許、調べてみたんだけど審査の段階で、拒絶理由も受けての権利化。審判情報もあるんだけど、それは現状実体がないような感じ。これが無効審判の情報なのかもしれないけど、結論は半年位の間に出そうだと思う。

「ハイスコアガール」民事の裁判の一回目

このところ、公式な動きが感じられなかった「ハイスコアガール」関連だけど、先月末から今月初頭にかけ「作者さんの近況が悲惨」と報じられていたり、最近目につくことがあったので、これは、公式にはどうなってるのか、追跡調査を行えということかと思った。大きな動きがあったら追加エントリーは出すつもりでいたけど、そんなに大きな動きがあるようには思えなかったのだけど。

サクッと調べてみたら、民事の方は、昨年の12月2日に第1回口頭弁論が行われたとのことで。結構大きな動きあったじゃん、と。民事なので、スクエニ側が起こしていた「著作権被侵害」と「債務不存在」の確認のための裁判だ。

ここで、「口頭弁論」ということもあるし、それなりに証拠とか並べられて、それに伴う議論とかになっていれば、もう少し大きなニュースになっていただろうし、そうなったら、もっと深い話になっていくものと思っていた。ところが。

その場で、SNKプレイモア側が、それまでの主張をかなり拡大して主張し始めた模様。それまで「計166箇所」としていた侵害の箇所を、一気に「全部で1000箇所近く」に切り替えてきた上に、「証拠提出には時間がかかる」(しかも2ヶ月!)とか言い出したおかげで、その場では著作権侵害がどうの以前の「その証拠がいつ出るのよ」状態。とりあえず、最初の主張だった「166箇所」についての提出が1月末までになるとかという話に。なんだよこれ。

これを見るに、当初「スクエニの知財担当が働いてなかったのでは」と考えたのだけど、これはそういうわけでもなくて、SNKプレイモアの担当も大概だなと。コミックス5巻で考えて、1巻200ページ弱くらいだから、全部で1000ページ弱のものに1000箇所の不正?1ページに一つ以上って計算じゃないか。僕も現物の全部は見てないけど、さすがにそれは風呂敷広げ過ぎだろう。一体何がしたいのか、これではわからない。SNKプレイモアでは、民事の反訴の準備も進めているというけど、このやり口は多分失敗。裁判官だって人の子だ。心象がいいとはとても思えない展開。「そもそも、プレイモアが何を問題にしたかがわからないと我々も議論のしようがない」そのとおりだと思うし、この期に及んでこれはない。

この口頭弁論を報じるサイトにもあったけど、これは刑事事件の方を先行させたいSNK側の時間稼ぎにも見える。2回めは2月10日にあるというけど、こちらは非公開の「弁論準備」だ。その次になってこないと、成り行きは見えてこない、ってことは来月か・・・な?

一方の刑事事件方面の動きは、現時点ではないようなので、今のところ、時間稼ぎは奏功していないと見るべきか。刑事事件の場合は、起訴如何の決定までにかなり時間が掛かる可能性もあるからね。特に規定はないはずなんで。そう考えると、民事の成り行きを見てから、検察が判断するという可能性もありそうなので、どちらも下手なことは出来ないように思うけど。

どちらにしても、この成り行きで、僕のこの件に対する印象も変化した、っていうか、どちらが勝訴するか、読めなくなった。現時点で和解の目はないように思うし、これは行くところまで行っちゃうかな、という予感しかない。どちらよりの判決が出ても、また和解になったとしても、今の時点では「そう来るか」って、驚くような話になりそうな(^^ゞ。

「IGZO」は商標にはならないという判決

IGZOで展開しようとしていたシャープにとっては痛手となる判決。

商標法第三条には、商標登録を受けることが出来ないものとして、いくつかあるのだけど、その第3号に「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」と定められている。

よって、「インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素」の元素記号の1文字目のみを取った「IGZO」はこの規定に則ると、商標としての登録を受けることが出来ないことになる。

ただし、それには例外があって、同条第2項には「前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」とある。

この商標取り消しを決定したのは特許庁だけど、特許庁は当初、シャープに商標登録を認めた。それに対して、IGZOの特許を保有するJST(科学技術振興機構)が異議を申し立て、それが通って無効審決を出したという経緯だ。

シャープとしては、「IGZOを実用化して、商品にしているのはシャープだけだから、第三条第2項に該当し、商標登録を受けることができる」と主張を展開するしかない。

で、判決は提訴棄却で商標は認められない、という判断になった。

それを受けて考えて見るに、確かに現時点では、IGZOを実用化しているのはシャープのみ。だけど、今後はどうなるかわからないし、そもそもの基本特許をJSTが保有、というのであれば、もちろんシャープも関連特許を複数出願、登録しているのだろうけど、それらを回避して別の会社が実用化、なんてことも皆無とはいえないわけだ。そう考えれば、この商標登録取り消しには意味があり、この判決は妥当だと言える。

独占的使用ができないだけで、別にシャープがIGZOを使い続けても問題はないけど、他の会社も「IGZO」って謳えるわけで、シャープにとっては難しくなった。これがカタカナで「イグゾー」だったら通った可能性もあるし(って、いかにもゆるキャラにつけられそうなネーミングで、少なくとも「クール」じゃねぇな(^^ゞ)、「IGZO液晶」でも通る可能性がある。「IGZOビジョン」とかね。原料の羅列じゃなくなればOKなわけだから、他にもいくつか考えられるけど、おそらく、一旦ケチが付いた名前を引きずるのも心象良くないから、違うことを考えてくる、っていうのが筋だと思う。

一言でまとめると、「今回はネーミングが安直すぎました」ってことだろう。

蛇足ながら、次世代ディスプレイの「4K」あるいは「4K2K」も「数字の羅列」に当たる(ピクセル数だもん)から、そのままじゃ商標通らないってことになるような。

日清食品ホールディングとサンヨー食品、和解

「ストレート麺製法」をめぐる特許裁判。2012年からやっていたというので、2年越しの裁判ということになっていたわけだけど、和解が成立したという。

確か、生麺を吐出するときに、螺旋を描くだけじゃなくて、その軌道を、一回転ごとに微妙に変えていって、麺の重なり具合を変えるという内容だったはず。

それが記憶に残ってるってことは、軽く調査して、このブログでも一度は話題に出したってことだけど、該当エントリーが見当たらない。ブログ引っ越してからの整理も全然やってないからこういうことになるんで、改めて反省。ブログがこんな状態なら、実生活の引っ越しの整理なんて、とか勝手にエクスキューズをつけてみる(^^ゞ。

和解の内容は、サンヨー食品が特許の侵害を認め、製法を変更した、という。どちらもそれ以上の情報の公開はしていないので、和解金の存在からして不明ということに。まぁ、これだけ争って、侵害を認めたってことであれば、製法変えたらOKで、その他は何もないってことにはならないと思うので、変更前までの損害金については支払うことで決着がついたとかんがえるのが妥当かと。当事者以外にわかる術はないが。

出来上がった麺の螺旋の具合を見れば、当たりかどうかは多分すぐ分かるのでは、とその時にも書いた記憶があるんだけど、それにしちゃ長くかかったな、という印象がある。生産装置の機構の変更、それに対する査察なんかも入ってるのかな、これは、という感じで、和解と言っても、円満さはそれほど感じられない。

「ハイスコアガール」関係者送検に関して

一応、著作権がらみの話ではあるし、どこかでこの話は出さなければ、とは思っていたのだ。

しかし、これが見ているうちに、スクウェア・エニックスの出版部の役員、編集、担当者から作者までを含めた総勢16人の送検、という、著作権史に残るような大事件にまで発展してしまうと、誰が予想しただろうか。

内容的には、一見して「クロ」ではなかろうか、と思える。スクエニ側は「引用」とかのたまっていたそうだけど、「引用」っていうのは、自分の見解を相手の著作物に示す、つまり批評とか、解説とかをするために、相手の著作物の一部を抜き出すことで、出典を明確にし、引用部分は本体とは切り離して表示、というガイドラインがちゃんと示されている。つまり、そういう区分や出典表示が構成上ほぼ存在しない上、論評などは全くと言っていいほどない、今回みたいなものにおいては、その主張は全くの失当ではなかろうか。今回は最初から、連載の中止、回収を求められていて、それは損失が大きいので、まずはジャブ的に、そういう論法でかわそうとしたのではなかろうか。そのような戦法は、ないわけではない。でも、たぶん、それ一辺倒では逃げ切れないんじゃないかな。

そもそも引用の体をなしていないと考えられるのだが、警告からの交渉の流れのどこかの段階で侵害を認め、ここまでこじれる前に解決を図るというのが、たぶん通常の筋道だ。交渉全般で不誠実だったということを伺わせる成り行きに見えてしまう。カプコン、バンダイナムコ、セガなどからは許諾をとったようだけど、それもセガとかは事後承諾で、厳重抗議を受けてのことと言われているし、他の方々については(提訴時点で)無許諾。どう考えても「やったもん勝ち」的思考が丸見え。

さらにすごいのは、この件、スクエニ側がSNKプレイモアに対して「債務不存在の確認」を求める反訴を行っていること。SNKプレイモア側からも、ある意味強硬な主張が、交渉の中であったのかもしれないとは言えるけど、基本著作権は独占権なので、著作者側のほうが立場が強いのは当たり前。ちなみに「債務不存在」とは、SNKプレイモア側にお金などを払う必要がないよ的なニュアンスで、つまり何が言いたいのかって言うと、「百歩譲って著作権侵害だったとしても、それでSNKプレイモアに支払うお金は発生しない」って話に落ちるようだ。更に噛み砕けば、彼らの言うところの「引用」部分で儲けたわけではないという論法でもある。確かに、話の内容はゲームをやることで、人の関係が変わっていく話で、使われるゲームは作中人物のコミュニケーションのための手段でしかないという論議は成り立つ。でも、それを一概に引用だというのは乱暴だし(最低限、それは「引用」ではなく「利用」になるだろう)、先にも述べたように引用の手順は踏まれていない。

この件、一部にはSNKが倒産したあと、その権利を継承しただけのSNKプレイモアには「著作者人格権」がないのではないかという論調もある。これはこれで、著作権解釈としてはハイレベルな話になるんだけど、今回はそれを理由に反訴を行ったのではないと思うので、解説は割愛。それは単純な話で、巻末の「SPECIAL THANKS」(ここにあるいわゆる(c)マークについては、著作権はここにあるよと単に書いてるだけで、これをもって許諾済み、とかの効力は一切ないし、逆にそれで許諾されてると誤解されてる事による被害も存在しないと解釈して良い)には「SNK」ではなく「SNKプレイモア」とはっきり表示されてるからね。そちらが著作権を継承したと認識していることを自ら晒している。

で、その結果、この送検という事実。刑事告訴となった以上は、それが取り下げられない限りは警察の捜査という手続きは取られる。「家宅捜査はやりすぎ」という論調も見かけるが、刑事告発されたからには警察は捜査しなければならない。事情聴取だけでいいのでは、という議論だと思うけど、そこでの証言の裏取りのためには、普通に捜査令状取るでしょう。通常の捜査手続きだし、その後の送検も通常の流れだ。

問題はこの先。検察でどうするか、なんだけど、驚いてるのは送検された人数。役員、作者含めた16人って、これは多い。多すぎる。それだけでもう大事件だ。しかも大阪府警は、作者の押切氏他6名と、スクエニに対して、起訴を求める厳重処分の意見を添付している。これで不起訴処分とか、起訴猶予とかはもはや、ありえん展開だわね。行くところ、最高裁まで行ってしまう可能性が極めて高い。判決がどうなるかまで見通せるわけもないけど、それだけでも、社会に対する影響は計り知れない。

作者は「スクエニが許諾をとっているものと思っていた」とコメント、作者的には、これはクロ、もしくはそれに近いものだという認識を持っていたと言える。他の15人は「許諾をとっているかどうか知らなかった」、って、これまたなんという無責任。著作物を取り扱う会社なのに?「知財部」とか「法務部」とか、そういうことを専門で取り扱う部署もないか、あってもろくに機能していないってことだよね。なんだかもう、その点においては、悪質というよりは、お粗末過ぎという言葉しか出てこないのだが。その判断と、必要に応じて許諾を取ってくるのがまさにそういう部署のお仕事なわけで。これは噂だけど、「一部上場」ということで一部の社員の態度が高圧的だったというのが出ている。事実かどうかは知らないが、こういう話が出てきてしまうこと自体ダメでしょう。

産経新聞の当該ニュースサイトで、桑野さんという弁護士の方が「最初に許可を取りさえすればよかった話。せっかく世に出た人気作品がこうした経緯で消えてしまうとしたら、もったいないことだ」と述べている。そりゃ、移り変わりの激しいゲーム業界、昔のゲームの著作権が、今どこにあるかを調べるのもなかなか難しいだろう。だけど、そこを地道にやって、筋を通していくのが結局は一番強いし、そこを適当に端折ってはならない。出来るだけのことをやって、相手には誠意を見せることが重要ではなかろうか、って普通の話に落ちるんだけどね。しかも巻末に書いてるくらいなら、権利の所在はわかってるって話だし、まさにその点(わかっててやってるだろう疑惑)が、「厳重処分」にかかってくるわけだと思われるよ。

正露丸で大幸薬品とキョクトウの裁判、大幸薬品敗訴

「正露丸」。もともとは「征露丸」と書き、はるか昔、日露戦争の頃から使用されていたということも。現地でのチフス予防に使用されていたらしい。また当時から、「征露丸」を製造していたメーカーは複数存在する、という下敷きがある。さすがに「征露」はまずかろうということで、太平洋戦争後、「正露丸」に変更されたという経緯での、行政指導によるものという。(ちなみに、現在も「征露丸」を使用しているメーカーもあるようだ)

「正露丸(セイロガン)」の名称については、今回の訴訟でも原告となった大幸薬品によって、1954年に商標登録がなされている。が、以上の経緯を鑑みると、この名称が一社独占になるとは考えにくく、当然無効審判が起こされ、最終的には(1974年、20年も経っている)無効になっている。しかし問題を複雑にしているのは、無効になったのは「セイロガン」のカタカナのルビが振られている「正露丸(セイロガン)」であって、漢字のみの「正露丸」は大幸薬品が商標として保持し続けている。

しかし、更にそれがややこしいことに、2005年からの大幸薬品が、和泉薬品工業を相手取って起こした裁判がある。こちらでは「正露丸」の商標侵害という真っ向勝負。この裁判で、最終的に大幸薬品は敗訴、「正露丸」の商標登録を持ちながら、「正露丸」は普通名称であると認定された判例で、大幸薬品としては辛い判決になってるだろう。ただ、おそらくそれでも大幸薬品はこの商標登録を手放す気はないだろう、というのも、この判決には「名称が『普通名称』と認定されるかどうか」についてのガイドラインが示されており、時代によって、またその名称の使用状況や一般の認知度によって変わるものであるとされているからだ。つまり、今の段階で国内生産量の9割のシェアを持つ大幸薬品が、その認知度を更に高めてしまえば、今後どうなるかは意外と流動的なのかもしれない。

以上のような経緯で、とりあえず、現在は「正露丸」は一般名称ということになっているというのが、その筋での認識である。どんどん複雑化する一方のような気もするけど(^^ゞ。

さて、今回の裁判では、「正露丸の糖衣錠」についての裁判となる。大幸薬品の「セイロガン糖衣A」のパッケージと、キョクトウの「正露丸糖衣S」の争いは、「糖衣」と付加された名称と、パッケージの色やデザインの類似性ということに落ちるように思える。オレンジ色のパッケージは確かに色味は似ている。大幸薬品のそれは「セイロガン(朱書)」カタカナ書き「糖衣」(赤丸白抜き)と二段の横書き、一方のキョクトウは「正露丸(黒)」と漢字、下に「糖衣」(赤丸白抜き)で表示されている。この表示方法が類似しているとしての告訴だったわけだ。実際の裁判資料を読めば、もっと微に入り細に入り、いろいろやってるようだけど、普通レベルに持ってくれば、大方間違いじゃないだろう。

で、判決の決め手は、名称の書体や表示方法ではなく、商標たる図(マーク)だったようである。つまり大幸薬品の「ラッパのマーク」と、キョクトウのマークに類似性がないと。「呼称や概念では類似している」という一応の判断は出ているのだけど、「正露丸」は普通名称とされている判例はあるし、「糖衣」もまぁ一般名詞だよね。そういう下敷きで見ると、マークが決め手という判断は致し方ないのかなと。ま、CMでも一時期「ラッパのマークの、とご指定ください」みたいな文言あり、そこが差別化ポイントと自認してしまってる部分もあるので、仕方ない部分があるのでは。

大幸薬品としては非常に厳しい判決かとは思うけど、全ての経緯を見ると、多少やり口が強引な部分があるような気もするので、どちらがいいとか、僕が判断するのは差し控える。少なくとも、いろいろ考えさせられる経緯だということは伺えるし、まだこれからもこの手の件での訴訟の道は続いていくとの予想が立つから。

TPPにおける著作権を考えてみた。

知的財産の中でも、著作権って特殊なこともあり、僕も突っ込んで論議することは少ないんだけど。著作権がTPPで論議されることは知ってたけど、一般的な理解では著作権の権利期間の延長(50年→70年)が取り沙汰されてるってことくらいだよね。もちろん「知的財産」というくらいだから、特許も対象だが、それはまたの機会に。

その権利期間延長だけど、これもこれで充分に問題だ。現在の「50年」でさえ、特許の「出願から20年」と比べても十分長いし、「50年」の起算が作品の生まれた時ではなく、著作者が死去した時からというのも異例だ。総合的に「公平性」を考えれば、科学的に他の人がやってないことを成し遂げたことを文章、図にした「特許」と、精神、文化的に他の人が考えなかったものを文章、絵にした「著作権」。保護のされかたにだいぶ違いがある。それを一括りに「知的財産」と呼ぶわけだけど、本来一緒に論ずることすらできないくらいの大きな差がそこにはある。(特許の話はしないと言ったけど、今回特許も20年延長の話が出ている。一緒くたに同じだけ延長ってのもどうかとは思う。すくなくとも国内の特許法の理念は・・・、ってまたの機会だって言っただろ(^^ゞ)

さてそこで。この延長で得をするのは誰かというのを考えると、いろいろな問題が浮かび上がってくる。得をするのは「世界的に有名なキャラクター、物語」を生み出せた人たち(とその遺族の方々)。著作はあっても、ベストセラーにならなかった作品群は例え「隠れた名作」であっても、忘却の海に沈められていく。そんな作品たちは、著作者が亡くなろうがなんだろうが、収益には関係ないし、かと言って著作者が亡くなって50年は「著作権」の「縛り」で、勝手に再版ができないので、日の目を見るチャンスがほぼなくなる。二次著作とか、そのあたりも縛りを受けるわけだから、ビジネスチャンスは、特に後発は厳しくなる。一番乗り大厚遇、は知的財産の最大の特徴だけど、それ以外がますます不毛になっていきそうなこの改変。簡単に認めてしまっていいものか。

そして、著作権については、もう一つ大きな問題がこのTPPではテーブルに載せられている。「著作権の非親告罪化」だ。見た瞬間「えっ!?」となってしまった。あり得ないだろと。被害にあった人が訴えないと立件されない、ざっくり言うとこれが親告罪なのだが、そうでなくなると、著作権違反をまるで交通違反か何かのように取り締まる事が可能になるってことなんだけど。つまり「検閲」が入るってことだよ、これは。「オマージュ」とか「リスペクト」とか「インスパイア」とか言ってる奴が、一切合切引っかかる。親告罪じゃないってことは、著作者に許可を取った取らないの話ですらなくなってしまう。第三者が見て「アウト」と言ったらおしまい。それは本当にいいことなのだろうか。

TPP賛成反対、いろいろあるけど、何でもかんでも賛成とか、徹頭徹尾反対とか、そういう態度はやめたほうがいいかも。そして、いかなる立場であろうとも、一度は全容と各論を眺めてみるべきではないかと、そう思うのだ。ほっとくとクソ長くなりそうなのを、最大限短くしてみた(^^ゞ。言い残しいっぱいある。

セガがレベルファイブを特許侵害で提訴

レベルファイブも特許侵害はなく、争うと発表。

詳細は、幾つか記事見たけど、手がかりが見つからないなと思ってたところ、レベルファイブの声明に登録日が載っていたので、それを元に検索。しかし、複数ヒットするし、表現が業界出ないとわからないところもあり、完全特定するには至らなかった。

レベルファイブ側の声明を見ると、まずは「非觝触」を主張している。その上で、当該特許技術は公知もしくは公用ということで、特許無効と言いたいようだ。

また、シリーズ第1弾の発売よりも相手の権利化が後なので、同じ業界としてどうよ、って言ってるけど、そこは法的には問題ないので、心象的なものだと考える。っていうか、製造業においては、そんなことは日常茶飯事なので、知的財産の取扱いについて、心構えが甘いのでは、と指弾されても仕方ないかも。ただ、公知公用が認められればノープロブレムと言えよう。

日本の場合、特許権は先願主義をとっている。つまり、明細書を先に出したものが強い。ただ、同じもので、相手の出願前にそれを行っていたと証明できる場合には、それを対価なしに継続使用することを認めると言う形(先使用権)で対応しているのだが、争うときに「使ってますが、ウチが早い」という言い草も基本的にはない。

ゲームとかソフトウェアの特許は、解釈が難しいし、特許の特定ができてない以上、これ以上詳しい話できなくてごめん。

みなさんの記憶にあるかどうかは不明だけど、GREEとDeNAで、2009年9月に提訴されていた釣りゲームの特許裁判。ここでは取り上げなかった。気になって調べてみたけど、あの裁判、実はまだ決着がついてない。1審の東京地裁の判決が出たのが今年の2月というくらい時間がかかり、GREEの勝訴となったが、控訴された、知財高裁では8月に逆転「侵害なし」と判断されており、上告中だ。

これも下手するとそれくらいかかりそうな案件だと思う。「イナズマイレブン」という有名タイトルが訴訟対象だけに、かなり大きく取り上げられてるけど、問題は「係争中」の場合、次のナンバリングをしれっと出せるかというところにもかかってくる。イメージダウンも避けられない。それを指しての「製品発売後の権利化特許の今更提訴はいかがなものか」主張なのかもしれないけどね。

ユーザからしてみれば、そんなことで諍いしてる暇があるなら、いいものを出してくれよ、っていうのはどこの業界でも、何時の時代にも言われるだろう。海外メーカーならともかく、国内なんだから、っていう意見もあると思うよ。メーカーの意識の問題、でもあるのだ。

livedoor blogでJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が可能に

これは、かなり大きいかも。これまではブログに限らず、ネットで歌詞掲載って、ほぼご法度だった。って、実はそれを知らない人も多いんだけど。JASRACがそれを厳しく管理してるから。それは、もちろんいいこともあるんだけど、一般の人が扱うには困ることもあるわけで。

今回、NHN JapanとJASRACが利用許諾契約を結んだということで、この歌詞掲載が解禁になったわけだけど、実際のところ、これって、インターネットが「パソコン通信」だった頃から懸案になってた課題で、その頃からの議論を見続け、時には「ダメ」と言わざるを得ない身にもなりつつ過ごしてきたわけで、そういう意味では「ようやく」かよ、という雰囲気も醸しだされてるんだよね。

僕個人的には、これで、自由度が高くなったことにより、livedoor blogのアカウントを、今やってる(そして頓死している)ことに替えて、別の道を与えることについては、考えてもいいかもとは思ってる。でも、今はダメだな。そんな時間が捻出できるような仕事状況じゃない。

livedoor blog 開発日誌の当該エントリー

「どん兵衛」vs「サッポロ一番」

・・・って書くのが、やっぱりわかりやすいってことか。

日清食品ホールディングスが、ストレート麺の特許でサンヨー食品を大阪地裁に提訴したというお話。

ええと、例によって、それを伝えているサイトにより表現に差があるんだけど、SankeiBizがいいか。「平成21年10月に登録した、即席麺をストレートにする方法」とあるので、特許の特定はかなり簡単にできた。

該当特許は特許4381470。サイトでは「方法」って書いてあるけど、発明の名称は「束になった即席麺用生麺」と「モノ」の特許になっている。特許的に言うと、この違いは大きく、「方法」だと、モノの形が一緒でも、「そんな方法はとっていません」と言われると、その方法をとっていることを証明するのは至難の業。一方「モノ」であれば、方法如何にかかわらず、そういう「モノ」になっていれば抵触を問える。特許権行使には大きく影響するので、大事。方法特許を取る場合は「方法及び製品」で取ることが多くなるのはこのためだ。

この特許は平成21年2月に出願されている。通常の特許は、出願後、1年半で「公開」になるのだが、この件は公開になることなく、早期審査により、わずか8ヶ月足らずで権利化されている。これは結構異例。特許の「独占権」は「公開すること」の引き換えで付与される。登録時にはもちろん「公開」になるのだからこの原則に違いはないのだが、日清食品側としては、この特許を大変重要視していることがこの経緯から伺われる。

審査中に公開を経ていないので、出願時の請求項がどうだったかをうかがい知ることは、審査経緯を見ればできるのか。当事者じゃないので、そのあたりは割愛。

最終的な請求項は「複数の麺線が重なり合って略扁平な束になった即席麺用生麺であって、前記生麺は、麺生地から切り出され、コンベア上で、当該コンベアの搬送方向に向けて配列されて製造されるものであり、前記生麺を構成する各麺線は、前記コンベア上で屈曲しつつ繰り返し輪を描き、前記輪は、前記コンベアの搬送方向と逆方向に順次ずれながら配置され、前記各麺線の描く軌道は、隣り合う麺線の描く軌道と同調せず、前記各麺線は、前記各麺線中の輪の位置が隣り合う麺線の輪の位置とずれた状態で、相互に交差して重なり合っており、その重なり合った状態のまま蒸煮され、延伸され、切断され、乾燥されると、湯戻し時に麺線が略直線状となることを特徴とする、前記束になった即席麺用生麺。」

わかんないよね、これじゃ(^^ゞ。噛み砕くと、麺を作るときに、麺の生地から、麺は切り出されてコンベア上に並べられていくものなんだそうで、そのときに、麺を並べるためのガイドがコンベア上でループを描くように動くらしい。さらに、それぞれのガイドは隣と「同調しない」と書いてあるので、ある程度ゆらぎを持つようにバラバラに動き、多少隣の麺とずれたように並べられる、と。それでそのまま乾麺にされる工程を踏むと、麺がストレートになるよ、とこういうことらしい。

つまり、出来上がった麺を見ると、それぞれの麺が少しゆらぎを持つループ状に製麺され、それぞれにずれて重なった感じに見えれば、当たりくさい。

で、これを、サンヨー側の「サッポロ一番オタフクお好みソース味焼そば」や「サッポロ一番ちゃんぽん」など11商品でやってるでしょ、ってことのようだ。消費者はそこまで見てない(^^ゞ。僕もそんなふうになってるかどうかなんて知らないので、ここまで読んで、ほんとに抵触してるのかどうかなんて、今判断できない。

そのあたりの商品を買ってきて、食べることがあったら、注目してみてくださいな、ということでまとめるしか。覚えてたら、そしてその商品が安売りしてたら、検証してみようかな、程度でひとつ。

パイロットvs三菱鉛筆、パイロットが請求放棄

昨日から、「消せるボールペン」に関するこの二社の裁判に関するエントリーへのアクセスが急に増えた。判決でも出ちゃったかな、と思ったら、こんな結果になってることが昨日のニュースにあったということで。

パイロット側からの請求放棄の理由の開示はないというけど。

取り敢えず、僕としては、去年の2月の2本のエントリーのうち、「意見修正」の方で、パイロット側の「発明未完成」の可能性を指摘していた。その当時から知識が変わったことと言えば、「異議申し立て制度」は、この特許が成立した時点ではなくなっていたこと、くらいか。(最近、部の特許担当になったことで、特許法は全部見返すことになった。ブランクの間に幾つか大きな変更が、日本にもアメリカにもあった(^^ゞ)。それで僕の結論が変わるわけでもなかったが。

請求放棄の理由は、おそらくこの瑕疵にパイロット側も気がついたからだと考えるのが筋が通る。が、そんなこと・・・(^^ゞ。判決が出る前に矛を収めると言う判断が最善だという結論に至ったに違いない。

とにもかくにも、この件はこれで終了ということに。お疲れ様でした。


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