iPhoneでの新しいナビアプリ「TCスマホナビ」が去年12月にリリースされた。ダウンロードして使用してみた結果、個人的にはナビとしてどうよ、という疑問点が多かった。

「TCスマホナビ」は、トヨタメディアサービスが開発したナビアプリ。無料で使用できること、「Tプローブ交通情報」でVICSとは別の交通情報を出せること、災害時には「通れた道」情報を示すことができるなどの特徴を持つ。地図キャッシュ(2Dで2GB、3Dだと500MB)を持つことにより、周辺であれば、オフラインでの使用も可能なようだ。

今更なぜトヨタが、と一瞬思ったけど、「後出しジャンケン」が得意なトヨタのこと、もしかしたらもしかするかもと思ったので試してみることに。

オフラインの地図が周辺のみとは言え、完全無料で使えるのであれば、これは大きなアドバンテージと言える。オフライン地図と言えばMapFanだけど、一回は課金しないとオフライン地図は落とせない(その代わり全国を網羅できるが)。

アプリを立ち上げてみると、インターフェース情報ボタンが画面を取り囲んでいる感じで、画面が洗練されていない感じがする。GPS受信状況とか、常時出しておく必要があるとも思えないので、整理すべきだと思う。縮尺もボタンで操作するように見えるが、実はピンチイン・アウトで操作できる。そういうことであればボタンはもう少し小型化してもいいわけだし。地図自体は見にくいとは感じないので、このボタン配置のウザさをなんとかして欲しい。他のアプリはもっと画面がスッキリしてるよ。

走ってみて特徴的なのは、自分が走っている道が幹線道路であれば、その名前が常に表示されるところ。自分がどこを走っているのか、地図上でわかるのは普通のことだけど、地図の道路上に名前が断続的に出てくるのが大概のナビアプリで、「今どこ(地名もしくは道路)なのか」っていうのが「名称で」わかる無料アプリは殆ど無い。いつでも自分がどこを走ってるのか確認できるし、この道であってるのだろうかという不安を解消させる効果があるので、これはいいと感じた。自分が通勤に使っている道がこういう路線名だったのか、って今頃分かったのも収穫(^^ゞ。あと「Tプローブ」はVICSでは表示されない道の混雑状況が出てくることがあるので、そういう情報は嬉しい、と素直に言える。

これもキャッシュを持つ恩恵なのか、走行軌跡がつく。ナビ専門の機械には必ずついてる機能だけど、アプリにするとほぼつかない。でも、これがあると帰りにわざわざナビセッティングしなくてもよくなる可能性が高いので、この機能はあったほうが嬉しい場合も多い。うざければ消せる(デフォルトは「なし」になっている)。

地図はヌルヌルと動く感じで、他のアプリよりスムーズに感じる。これはおそらく地図キャッシュのおかげだろう。3D表示にすると、建物がフレーム表示されて立体的になる。無料アプリでここまでやるのか、とは思った。

しかし、いいと感じたのはここまで。次にイマイチな点を。

致命的(と思うんだけど他であまり指摘されない)のは、交差点や分岐での動作。交差点を右左折すると、自車位置が明らかに2〜3秒のタイムラグを持って追尾する。交差点を真っすぐ行ってしまってからおもむろにって感じで追尾するので、あれっ、と思ってしまう。また、分岐でも自分が走っているのとは違う道を選択してしまう確率が高い。どういうマップマッチングアルゴリズムを使っているのかが謎なレベルで、例え幹線道路を走っていても、分岐に差し掛かったら、結構なレベルで幹線道路を外れる方向に走っていってしまう。逆ならまだ許せるかもだけどフリーダムすぎ。それで2〜3秒のラグ、これはやはり「ちょっと待て」って感じにならざるをえないだろう。

目的地検索も謎。キーワードを入力しても、普通このキーワード入れたらこういう場所を候補に上げるよね、という候補がなくて、軒並みズレている。他のアプリではまずないな、こういうの。

ナビをすると、右左折ポイントを案内するのは普通のナビだけど、そのピンポイントを案内してくれない。「間も無く」って100mくらいで言うんだけど、他のアプリで直前に「右です」「左です」言うところがない。そしてこれが問題なんだけど、やはりタイムラグがあるので、こっちが曲がっても真っ直ぐ行っちゃう。で、あろうことか追従する前にリルートが入ってしまうのだ。こっちが間違ったと思うレベル。普通に通勤路で試してみてよかった。

あと、マナーモードにしておくと、Ligtningケーブルに繋いでいてもナビ音声が出ない。他のナビアプリはちゃんと出るぞ。普通のゲームとかのアプリじゃないんだし、そこはちゃんとやったほうがいいと思う。音楽は流れるのに、案内が出ないと、何か壊れたのかと思って焦ってしまうよ。

そんなわけで、いいところもありながら、本業のナビとして、現状では残念なレベルと感じたので、将来に期待ということで。

僕の評価としては、iOS限定で、現時点ではYahoo!カーナビが地図としては最強で、次点には、地図表示ではフラフラするけど、ナビをさせる場合には安定し、何より一度オフライン地図をダウンロードして、オフラインモードにしてしまえば、電波が届かない道でもちゃんとナビしてくれるMapFanというところ。

そして眠くなりそうな深夜走行では、MAPLUS+に勝手に喋ってもらって、ツッコミを入れながら行くという選択になるのだった。

時に、そのMAPLUS+、特にエントリーとして評価してないけど、実は「こんな道誰も通らねぇよ!」というチャレンジングな道に誘導される率が高い(Google mapと同等レベル(^^ゞ)のと、画面に夜間モードがないので夜間使いにくいという矛盾が。また、声出しキャラの選択によっては「右じゃない方」とかアレなナビをしてくる。究極な突然予告なしに落ちる、というダメだろこれ、という機能も満載なので、これまた厳しいんだけど、デンジャラスなドライブを楽しむなら、これもありかな(おいっ)。それから、こっちはこっちで、マナーモードにしてようが何だろうが、Lightningに繋いでないと、容赦無く「スピーカーから」ナビ音声が出る。さすがにナビ立ち上げた途端「トゥットゥルー♪」とか言われると、周りがドン引き。それはもう爆弾レベルと言えるので、アプリ音声は最初から絞っておくのが吉である。

難しいね。ナビアプリ選びも。素直にヤフナビにしておけ、ってことでひとつ。