オンキヨー&パイオニアマーケティングから。「S-PM50」と「S-PM30」の2種類。ピュアモルト自体は、ウィスキー樽の廃材をスピーカのエンクロージャーに使いましたって話なので、実はそれほど重要ではなく(もちろんエンクロージャー材として、オークは適している方だという部分はあるにしても)、バスレフ孔から微かにウィスキーの香りが漂う程度のプレミア度だ。

オーディオファンが注目するのは、それよりもヴァーティカル・ツインが復活したという事実のほうが驚きかも。ヴァーティカル・ツインってのは、縦に配置した二つの同径のダブルウーファに挟まれる形、真ん中にツイータを設置して、仮想的にコアキシャルな2WAYスピーカを作ることにある。高音、低音の音源が仮想的に一緒になるという部分。コアキシャルを使わない理由は、これは多分に僕の想像も入ってるけど、スピーカーの真ん中にツイーターがあるためにウーファから出る音に乱れが起きるとか、動きが規制されるとかの弊害があるのかな。あとはダブルウーファだから、径が小さくできてスリムにできるという効果というか、実はそれが主目的だったと思う。縦の音像はずれる可能性はもちろんあるけど、横よりは感じにくいので、これはそういう思想で作っているはず。

ヴァーティカル・ツインは20年ぶりというから、そんなに空白期間あったっけ、とも思うが、最初の製品がS-77twin、S-55twin、ちょっと遅れてS-99twinだったと思うので、それは1988年、僕がパイオニアに入社した年。一時期S-99twinを所持していたが、流石に20cmウーファの3WAYと比べると低音のアタックと、音の解像度が弱めに来る(やはり低域に挟まれた高音域ってのはやや埋もれる感があるような気がする)ような気がするが、音の定位とか音場感では良かったと思う。ダイヤトーンの3WAYと同時に所有していたという贅沢な時期があってな(^^ゞ、いまはどっちもないが(-_-;)。ハイレゾ対応はいいけど、それを強調するっていうか、ハイレゾにはヴァーティカル、なんて売り方をするとダメだと思う。究極のスピーカはフルレンジ1発ですべてこなせるってことなんだけど、そんなスピーカはない、わけだからさ。

驚きなのは、それが、パイオニア時代にあったわけじゃなく、パイオニアのAV部門がオンキヨーに移動してから改めて開発されたのだろうというところ。それはオンキヨーがパイオニアブランドを思ったより大事にしているということを示す。オンキヨーのスピーカとは明らかに違う方向性、パイオニア的な部分を出そうとすると、こういう感じにならざるをえない部分もあって、それはそれでいいと思う。

#流石に「A-JETスピーカー」は復活しないだろうと思うけどな。