このニュースは、今年の3月に、サントリーHDが、ノンアルコールビールの製品特許に、アサヒビールの製品が抵触しているとして裁判を起こしたわけだけど、東京地裁にて「請求棄却」の判決が出た。

この裁判に臨んだアサヒ側の戦略としては、おそらく裁判前にサントリーとの交渉でも主張しただろう「特許出願前に特許に含まれる数値範囲で、複数の製品が存在した」という「公然実施」を基本としたものだそうだけど、今回それが認められた形で、「サントリーの特許は既存製品から容易に発明できるもので、新規性がない」との主旨。すなわち「特許無効」でサントリー全面敗訴という結果だ。

確か、この特許のメインクレームはたった3行と書いた。だが、実はそれについては、親出願があり、そっちはわずか2行ともっと短い。「エキス分の総量が2.0重量%以下であるビールテイスト飲料であって、pHが3.0以上4.5以下である、前記飲料。」とあり、3月に見たやつの糖質の含有量が省かれている。で、こちらも特許登録されている。ほんとに、「これが通るの?」と言いたくなる気持ちもわかる。でも、ここに来て「それチャラな」って言われても、「それはねぇべよ」と応えるしかないのでは。

というわけで、サントリーとしては控訴に行くしかないだろう。知財高等裁判所で決着を図ることになる。そこで改めて「本特許が無効か否か」は論じられることになる。アサヒ側が提出した資料を見てみたい、とは思う。最終結論はまた半年くらい先になることだろう。