タイヤを変更してからしばらく経った。雨も高速も経験したし、このくらいのタイミングでで、最初の印象はどうだったかを書くのがいいのかな。比較対象は当然前に履いていたタイヤ、Playzとの比較ってことになる。

まず外見。トレッドパターンは、グルーヴが4本だったPlayz、ecopiaでは3本と減っている。接地面積もやや狭くなっている感じはある。同じタイヤサイズでも、ポテンザと比べたら「ほそっ!」って感じ。それに合わせてサイプの形状ももちろん違っている。ecopiaでは、ショルダーのエッジに大きめのRがついていて、トレッドパターンも切り上がっている。トレッドでの踏ん張りはあまり期待できないと感じる。

サイドウォールは、大きなリムガードが目立ったPlayzに対し、ecopiaは最小限。「ない」と断言してるサイトもあるけど、流石にそんなことはなく、最小限で目立たない、が正解。その結果、サイドから見るタイヤの印象は、当然ecopiaのほうがおとなしい印象である。ウォールのたわみ具合も、ecopiaのほうが大きいようだ。

というわけで、外見からして、同じグレードとは言っても、ecopiaのほうが走りはマイルドになるだろうという雰囲気が漂う。ま、何度も書いてるけど、このコペンは通勤用に買った車、片道25kmの間に、気持よく走れれば。この「気持よく」の意味合いは、どっちかって言うと「ファン」よりも「コンフォート」寄りのほうが、疲れなくて済むかなー?くらいな。

走りだしてみると、まず誰でもわかる違いは、凹凸の当たりが柔らかく、しなやかに感じられるということ。段差や、橋の上の路面の継ぎ目を踏み越える時のショックが明らかに小さくなっている。っていうか、家の駐車場から道へ出る段差を降りるだけで、その違いがわかる。乗りこんでからわずか30秒だw。そこは劇的。コンフォートを求めるなら、これで十分だと言える。ステアリングの切り込みが軽くなったのも、その一環と言えるか。直進安定性は、十分。Playzも十分にあったため、同じくらい、と書いてしまっていいだろう。

コーナリング性能はどうだろう。トレッドの観察からは意外なくらい、グリップレベルの低下を感じない。ウォールがしなやかなので、エココンパウンドの割には粘る感じがある。半面、「当たりが柔らかい」の言葉どおり、ステアリングインフォメーションは明らかに減少。言い換えれば、ステアリングの手応えは少ないけど、それで感じるイメージよりは粘る、という不思議なフィーリング。限界は・・・流石に寿命寸前のPlayzよりは高いし、そこはそうでないと困る。今のところは限界を超えるほど攻めこまないので、充分と言える。山が減ってきた来た時にどうなるかについては、今の段階でわかるわけがない(^^ゞ。

ウェットの性能については、Playzが雨で滑るようになっちゃったから替えるわけで、そういう意味では安心してコーナーに飛び込めるようになった。それだけでも交換した目的は達成したし、それだけの価値もあるわけだが、なかなか人間てのは贅沢にできているわけで(^^ゞ。コペン購入時のPlayzと比べると、ここもインフォメーション的には薄味になっている。が、雨だと基本絶対スピードも落ちるので、実用上不満はないというべき。

ちなみに、ネットでこのecopiaのインプレを参照すると、その評価は真っ二つと言っていいほど。「文句ない」から「なんだこれ?」まで。タイヤの評価としてこれほど大きく振れるのって珍しいんじゃないかしら、と思うくらい。

この短い期間ながら、走らせながらいろいろ考え、試してみたんだけど、これって、もちろんタイヤサイズの違いで性格に差が出てくる部分もあろうが、コーナリングフォースをトレッドだけじゃなくてタイヤウォールにも積極的に分担させたタイヤ構造によるんじゃなかろうか。

例えば、コーナリングをタイヤ任せにしたり、タイヤをこじったりするような運転だと、どうしても、入力から手応えが来るまで、ウォールの反応がワンテンポ遅れる感じになる。それが違和感の正体なのではなかろうか。コーナリング開始前に、前に充分な荷重をかけることで最初からウォールに仕事をさせてやれば、それなりの手応えは初動から帰ってくるようだ。それがやりにくい高速コーナーや、Gのかかり方が激変する素早い切り返しなどは苦手とする。まして、エコタイヤなのでコンパウンドは硬めだ。下手に切りこむと、極端な話、微妙に滑ってからウォールがしなり、そのおかげで逆にグリップが回復する、という変な挙動を取る可能性もありそうだ。そこまで妙じゃなくても、切り込みが大きければ手応えのタイムラグは確実にあるわけで、独特なフィールになる。それに慣れなければ、タイヤに対する評価は当然低いのだが、実際は先程も言ったように粘るので、そこを評価すれば高めに来るというカラクリではなかろうか。

ま、それで納得したところで、体に染み付いたフィーリングとのズレは、慣れるしかないわけだが(^^ゞ。

ロードノイズは、通常のシーンでは、音質、音量ともに変わった感じはせず、違和感なく履き替えられている。実のところ、ここが一番「路線継承」って感じがする。「静かになった」と宣伝では言ってるが、そこはあまり感じられない。むしろ、道路が古くなっていて、細かいヒビ割れなどがあったりすると、それを超えるときに、路面を叩く硬い音が断続的に発生するのだけど、これはPlayzよりは明らかに大きく(高いから耳障り?)、コンパウンドの硬さの証明とも言える。ま、レグノの静粛性とか、そんなものコペンには求めてない。タイヤ以外からも多種多様な音が発生することもあるし、このくらいは許容範囲だと言っておく。

燃費については、向上していると思う。断言しちゃっていいかって言うと、そもそも気候や道路の事情によって、普通にやっていても振れ幅が5%はある燃費のこと、1〜2回の給油程度で直ちにこれくらいとか、具体的には言えない。でもまぁ、平均値で考えても、押し上げ効果はありそうな雰囲気だ。燃費に関しては、「S.Driveでは多少悪化する」という話を嫌ってのecopia導入だけど、特段「良くなる」という話も特には聞いていないので、期待もしていなかったというのが正直なところではある。

とりあえず、公表された数値データ的には、転がり抵抗は同じPZ-XCでもPlayz比で35%低減というデータがある。(ブリヂストンのニュースリリース

明らかに差を感じるのは、空走〜停止へ移行するフェイズか。スピードの落ちが遅く、Playzの感覚でブレーキを踏むと、タイミングが明らかに遅い。それはブレーキの効きが悪いとかそういうことじゃなく、タイミングが遅れ気味になるということなだけなので、アジャストしてしまえば全く問題はない。これだけ違えば加速の方にも効いてるはずだが、こちらはシフトアップはオートマだし、車速で制御してる感じもあるのでわかりにくい。定速運転じゃあさらにわからん。

全般的な結論としては、絶対性能的には不満はあまりないが、エモーショナルな面で言えば、「面白み」は少ないという感じ。まぁエコタイヤなんてそんなもんだ的にまとめられてしまうわけだけど。コペンに履いた結果として言えば、コペンの重心が低いことと、50というロープロファイルのおかげで、実は欠点は露呈しにくい。タントとかのハイトワゴンだったり、扁平率が65あたりまで行って、サイドウォールが高くなると、ロールでタイヤが大きく変形すると考えられることもあり、不安になるタイミングが早いかも。走りの「質」自体はPlayzのほうが高かったと思うので、Playzからの変更でこれを選択すると、乗り心地は良くなるし、走りも悪くはないけど、物足りなさや不安も感じることがあるだろう。

タイヤの性格を50文字以内で説明すれば「エコタイヤ向けの固くてグリップの少ないコンパウンドに対して、タイヤの構造でそれを補完したもの」というのが一番妥当な評価なような気がする。

僕自身としては、Playzが廃盤になっている以上は、その基本特性を持続させるという意味では、これ以上の選択はきっとなかったのだろう、と納得している。とは言え、じゃあ、次もこの路線で?と聞かれたら、おそらくないんじゃないかなと答えることになる。次はもう少しダイレクト感のあるタイヤにしたい。