あのタンブレロコーナーの事故から21年。NHKでセナのことを取り上げるというので、折角だから見ることにした。

これは、もう何度も言及してるけど、セナの生前、僕は決してセナのファンではなかった。当時の同僚がセナの熱烈なファンで、僕はそんな彼について、というよりダシにして、日本GPを純粋に楽しみに出かけていた口だ。セナよりもプロストのほうが、僕には近かった。

それは、今にして考えれば、セナ以前のF1を見ていたからなんだろうなと思う。シューマッハが出てきて、初めてセナにシンパシーを感じたし、またアロンソが出てシューマッハを破るようになるとシューマッハを「好きではないながら応援している自分」を感じる。要は基本保守的なんだな、そんな感じがする。デビューから応援していたのはジャン・アレジやミカ・ハッキネンなど、意外と少数なんだな。

そんな僕でも、セナがタンブレロに散った時は、かなりの衝撃を受けた。もちろん、その前日のラッツェンバーガーにもショックを受けたのだけど、それで終わらなかっただけではなく、トップレーサーを巻き込んだことが、世界的に大きかったんだろうと。それ以降21年、F1でドライバーが亡くなる事故は起きていないが、今起きているF1の人気の低下とレギュレーションの改変への動きなど、あの当時と似た空気を感じることもある。アクティブサスでウィリアムズが連勝して、それが禁止になったという事実と、今のパワーユニットでメルセデスが連勝、あるいは17歳のマックス・フェルスタッペンが軽々とF1を操り、「F1への敷居が低くなった」と感じられていることなど、微妙に重なるような気がしている。

当時のセナについて、知らなかったこともやはり出てきたし、見てよかったと思う。でも、番組の作り方は、なんとなく無理に冷静に、第3者的にやろうとしていて、製作者の「熱」が伝わってこなかったのは面白くはなかったかな。毎回こんな感じでやるというフォーマットなんだろうけど、真木よう子の棒読みは気になった。進行に徹し、見た人に判断は委ねるという意図なのかもしれないけど。